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 今年の目標。

 @セドリックをなんとか助ける。
 A1年間無傷で過ごす。

 もちろん後者は私自身のことだ。お母さんのためにも、自分のためにも。なるべくの話だけどできる限り努力はしたい。

 この際ヴォルデモートの復活阻止は度外視とする。正直できる気もしない。あとこれは最近思い出したことなんだが、ハリーの血を使って復活することがとてつもなく重要だった気がするから。ハリーの中の分霊箱破壊とかに関わってきていたような……? ちょっと曖昧になってるけど多分そんな感じだったと思う。詳しくはダンブルドアへ。


 努力ではなく絶対に成し遂げなきゃいけない方の目標@についてだが。一番望ましいのはセドリックを墓場へ行かせないことだ。出場を止めることはできないし、これが最も確実な回避方法。

「(なん、だけど)」

 なんと困ったことに打開策がまっっったく思い付かないんだよなぁ。誰もいない寝室で大きなため息を吐いた。いや夏の間に考えてみたはみた。みたけれど。この案で成功するビジョンが望遠鏡を覗き込んでも見えない。

 そも、セドリック死亡回避はとてつもなく慎重に行わなければならない。なぜなら下手すればセドリックが闇堕ちるルートまででてきてしまうから。最終課題は観客いないし、彼がなにを失敗しても恥を感じることはないはずだけど……。


 さて、私が考えた荒唐無稽な案@。【墓場に行かせたくないならゴブレットに触らせなきゃいいじゃない】作戦。ゴブレットに触ろうとしたら弾かれるようにする呪文を試合前のセドリックにかける……というものなんだけど……条件的に発動する妨害の呪文ねぇ。

「(鞄を持った瞬間に……)インペディメンタ、うわっ?!」

 ベッドに腰かけたまま、試しに一度自分に魔法をかけてみる。条件を念じて唱えた途端、全身が軽く浮くようなような衝撃を受けた。ベッドから弾こうとするようなそんな力。今のは私の身体をベッドから妨害させようとした結果だろうか。……鞄なんて触る暇もなかった。はい案の定ね。分かってた分かってた、そんな気はしてた。試すまでもなかったよ。全然ダメ全然無理。やっぱそもそも条件付与が無茶なのかな……。

 なんならゴブレットに直接魔法かけられればいいんだけど。でもそれじゃハリーまで妨害されてしまうし。あとクラウチJrやダンブルドアにも気付かれそう。


 そしてもう一つの荒唐無稽案Aである、【いっそセドリックに遅効性の眠り薬でも盛る?】作戦。
 これに至っては完全に運。もう最悪墓場に着いてから眠るとかになる。そうしたら本当に無意味すぎるね……。一応飲んでから十五〜三十分後くらいに眠るようなものを作るつもりだ。迷路がしょぼくなきゃ充分すぎる時間だと思うんだけど……セドリックがそれを上回る優秀さを発揮してしまったジ・エンドである。


 でももし奇跡的に墓場に着いた瞬間に効いたとしたら。肝心な時に意識さえなければヴォルデモートも積極的には殺そうとしない……かな? セドリック半純血だし……どうだろな、慢心してくれれば殺さなそうなんだけどな……。ヴォルデモートの気まぐれを願うほかないとか。ね、信じられないくらい最悪で有り得ないくらい成功率低そうでしょ。

「ど────しよっかなぁ」

 うだうだ思案してはみたものの、結局この二つよりマシな案はでてこない。成功率も低ければ現実性も低い、なんて杜撰な案たちだろう。

 二回目のため息とともに、鞄を持って立ち上がった。そろぼち降りなきゃ朝食を食べ損ねてしまう。一限薬草学だしなんなら普通に遅刻もありうる。

「遅いよエレナ、なにしてたの?」
「ごめん、教科書がなかなか見つからなくて」

 談話室でネビルと合流してから朝食をとりに大広間に降りる。郵便の時間だったのか、広間に入るなり大きなメンフクロウがネビルに向かって包みを放った。それを受け取ったネビルは「あっやばい……」と眉を下げる。学期始まりの家からの届け物は大抵忘れ物だからだろう。でも届けてくれる分お祖母様もやっぱり大概優しいよね。普段の厳しさを含めてより一層孫への愛を感じる。

「何入ってたの?」
「乳鉢、カットナイフ、タマオシコガネ、それから根生姜に……アルマジロの胆汁」
「だいぶ忘れたね??」

 ていうか送られてきたのが乳鉢だけってことは乳棒は持ってきたんだ……。もし乳棒オンリーで机に並べてたら、スネイプ先生それだけで減点してそう。

 グリフィンドールの席に着くと、ちょうどヘドウィグが大きな包みをハリーの前に落としたところだった。オートミールをつついていたハリーは、重たい音にびっくりして目を丸くさせる。中身はケーキとお菓子と、それからお小遣い。お小遣いといってもほんの少しだ。ガリオン金貨がたったの十枚ほど。あ、もちろんこの“ほんの少し”っていうのは私の価値観じゃないよ。包みに入ってた送り主さんからのメモから拝借した言葉です。

「どうして? 誰が?」
「さあ、誰でしょうね……」

 困惑するハリーを他所に、ハーマイオニーは意味ありげに教職員席を見る。視線の先では、ムーディの隣に座る某補助職員さんがこちらを見てキザったらしく微笑んでいた。はいでましたウィンク。いや手渡ししろ、この距離なんだから。走ってこい、そこから。誕生日サプライズじゃあるまいし……。
 ハリーは困ったように「もう」と言っていたが悲しいかな、幸せオーラが隠しきれてない。声も顔もぜーんぜん困ってないね!

「嘘だろ?」

 絶望した顔でロンが呟いた。

「これを今年一年、ずっと?」

 ロンは半年ちょっとくらいじゃないかな、これから喧嘩するし。メタ事情になるので教えてはあげないけど。
 

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