5.黙示録を抱く


 仕事を終えたヒヨくんが迎えに来るまで、私たちは磁石のようにぴったりひっついて、公園の一角でひたすらに泣き続けた。「うおおおギャン泣き! なんじゃ、なにかされたか⁈ 怪我でもしたんか⁈」とヒヨくんは慌てふためいていたけれど、そのどちらも違ったので、私は無言で首を横に振って、しゃくりあげる以外の返事ができなかった。そもそもヒデくんにいたっては私につられて泣いちゃっただけであるし、本人もなんで泣いていたのかよく分かっていないだろう。彼はヒヨくんに揺さぶられながら、腫れぼったくなった瞼をして「のどかわいた……」と呟いていた。帰りにはコンビニで棒アイスを買ってもらった。美味しかった。


 私は懐かしい夢のような世界で、一ヶ月ほど過ごした。しかし一ヶ月経ってもちっちゃなごちゃいのままの身体と、そしてなにも変化のない世界に、私は『もしかしてマジで夢じゃないのかも?』と思い始め、さらに二ヶ月経ってから吸血鬼によるヤバい催眠の可能性も薄そうだぞと排除し、そうしてようやっと、自分がなぜか突然二周目の人生を歩み始めたということを、受け入れたのだった。いや、どうしてこうなった?
「なあなあ、今日にいちゃんが焼き芋するって!」
「わーい、今行くー!」
 まあロナルドが元気な世界なら、それで全然いいんだけれど。
 腐っても転生しても私は変わらず新横浜住民であったので、順応性の高さには自信があった。つまり、降って湧いた子ども返りも、存分に満喫していた。
 家の外から叫ぶヒデくんへ向けて声を張り、お母さんに「行ってくるね!」と笑いかける。それから私は短い腕を懸命に振って、ヒデくんの元へと走った。

     ∞

「……あ、そうだ! 俺のこと、ロナルドって呼んでもいいぜ!」
「ロナルドって誰だよ」
「だから俺だよ!」
 私たちの仲は変わらぬまま、高校生になった。私は一周目より楽しくこの生を謳歌していた。一周目は、中二の時に他クラスの女子に囲まれえ、『ヒデくん呼び、やめなよ』と圧をかけられたので、以降はロナルドとも距離を置いてしまい、それがきっかけで疎遠となってしまっていた。が、今回は特にそういうこともなく。囲まれイベント自体はあったが、なにせ一応精神が大人なので。どれだけ凄まれても、子猫にじゃれつかれてるくらいにしか思えなかった。
「で、なにその脈絡もないあだ名」
「や、テストの時さ……」
 閑話休題。
 ロナルドは男子校に進み、私は家から少し遠い共学に進んだ。特に意味はないけれど、一周目よりちょっとだけ受験勉強を頑張ってみた。
 そうやって学校を別にしても、私たちの交流はちゃんと続いていた。今は夏休みの課題を彼の家でやっているところである。「一人じゃぜってー終わんねえ……!」と泣きついてきた張本人であるヒデくんは早々に飽きてやがり、こうして全く関係のない話題を持ち出してきていた。あー、ね。あの名前が決まったのって高一だったんだ。経緯は聞いてたけど、それは知らなかったな。なんて内心では考えながら、数学のワークを片手にノートへ式を書き連ねていく。
「……で、半田のやつに広められて、今ではみんなにそう呼ばれてる」
「ふーん。なんか男子校って感じだね」
「そうか?」
 ヒデくんあらためロナルド――正直ロナルド呼びのが馴染みがあったので、やっと大手を振って呼べるようになり、私としても万々歳だ――は、脇をパタパタさせて妙に楽しげだった。
「てかさ、ロナルドってどっかで聞いたことあんなって思ってたんだけど、お前昔、俺のことなぜかそう呼んでなかったっけ?」
「そうだっけ? え、覚えてないや。てか呼ぶ理由なくない……? それ、字の汚さ由来でしょ?」
 しれっとすっとぼければ、ロナルドは「それもそうか」とすぐに納得した。
「あだ名ってなんか、退治人っぽいよな!」
「……あ、そういえばこの前ヒヨシくん会ったよ」
 退治人という言葉で連想して思い出す。私がそう口にすると、ロナルドは瞳を輝かせた。
 家から遠い学校を選んだため、帰りもそれに応じて遅くなる。そのため、レッドバレットとして活動するヒヨシくんの姿を見かける機会が増えていた。前回≠フヒヨシくん退治人全盛期時代はロナルドと疎遠になっていたということもあったし、活躍するヒヨシくんを見たことはほとんどなかったのだ。ヴァモネさんや若い頃のマスターと肩を並べるヒヨシくんの姿は新鮮で、ロナルドから話には散々聞いていたけど、やっぱり自分の目で現役の彼を見ると胸が踊った。いや、流石にビームでるとかは思ってないけどね。
「ヒヨシくんってほんとにやさしいよね。会う度に、いつも送ってくれるの」
 とにかくそんなわけなので、私もヒヨシくんを見かけるたびについ駆け寄ってしまっていた。お仕事の邪魔かなとは思うけれど、ヒヨシくんは優しいので、毎回イヤな顔一つせず、律儀に駅まで送ってくれる。
「ヒヨシくん、絶対車道側を歩いてくれるし、鞄持ってくれるし、ちゃんと視線を合わせて話してくれるし、なんかほんと大人の男の人って感じというか」
「お、おー……そうだろ、さすがはアニキ、だろ……」
 まあそれもこれも、私が弟の友人だから優しくしてくれているのだろうけれど。自分で言っておいてなんだが、要はレディ扱いではなく、ただの子ども扱いだ。でもそれは私が二周目の人間だからこそ気付けたことである。私がロナルドに恋をしてなかったらうっかり好きになっていたかもしれない。そのくらいヒヨシくんの行動は自然で、セーラー服の女子高生相手にもとことん配慮されていた。うーんこの。初恋泥棒すぎる。
 ヒヨシくんの対応を思い出して舌を巻く私に反し、ロナルドはなんだか煮え切らない返事をした。大好きなお兄さんの話題だというのに、妙にノリが悪い。喜んで飛びついてくるかと思ったが、どことなく複雑そうな顔をしていた。
「この前なんかは、たまたま空き時間だったらしくてね。ファミレスでパンケーキ奢ってもらっちゃった」
「はあっ⁈ な、なんだよそれ‼」
 しかもほら、こんな声まで荒らげちゃった。
 話題を閉じる機会をなんとなく逸してそのまま話を続ければ、ロナルドはガタンと机に手を着いた。「あぶなっ」振動で倒れかけたグラスを咄嗟に掴む。空でよかったけれど、いきなりなんだ。
「なに?」
「ダッ、いやだって、だってお前が急になんか言うから!」
「ええ?」
 ロナルドはローテーブルを掴むと、今度は机のものを少しも揺らさないで脇へと避けた。器用だ。じゃなくて。
 シャカシャカとまるでゴキ……のような素早い動作で詰め寄られ、少し身を引く。眉間のシワがすんごいことになっている。ドラルクとかセロリを睨んでる時みたいな形相だ。
「ヒヨシくんに奢らせちゃったからそんな怒ってるの?」
「ちがっ、それじゃなくて、いやえっ――えっ⁈ だっ、だっておまそれでで、デ、デッ……じゃん! そんなん、そんなんもうデーッッッ……!」
「デ、えっなに? まじで怖いんだけどさっきから……」
「ぐ、ウッ、うう、うあーっ⁈」
「だからなに⁈」
 奇声をあげながらぎゅいんと海老反りになったロナルドが、ぐしゃぐしゃと自身の髪を掻き乱す。
「なんッ、ンイッィン、ンェッ、エホッ……」
 こ、こわ……。
 ヒクヒクと床で痙攣するロナルドにドン引きしつつ、立ち上がってもはや勝手知ったるキッチンへと向かう。私がサイダーのペットボトルを持って戻ってきても、ロナルドはまだ打ち上げられた魚の物真似をやっていた。
 グラスに注いだほんのり気の抜けた甘い炭酸を口に含みながら、彼にも注いでやる。それでちょうど中身もなくなったので、手持ち無沙汰にペットボトルのラベルを剥がしたりしてみる。
「ッオオオオオ⁈」
 なんて暇をしていれば、突然ロナルドが雄叫びを上げて起き上がった。グラスに口付けたままビクリと肩を跳ねさせる。だから言動がいちいち怖いんだよ、さっきから。
「おれっおれも、お、おれ――ッおれだって! なりますし⁈ アニキみたいに強くて紳士で高潔で超絶かっけェ退治人に‼」
「あ、うん、存じております……?」
「へっ」
 意気込んでやっと人語で何を言うかと思えば、なんだそんなこと。しばし揃ってぽかんと拍子抜けした顔を突き合わせる。……ああそっか、知らないんだ。まだ、誰も知らないんだ。知ってるのは、世界でまだ、私だけなんだ。
「……知ってるよ」
「知っ、え? な、なにを……?」
 頬を緩めながら、ゆるりと瞬きをする。一瞬だけ降りた瞼の裏に、彼の敬愛する兄とはまた違う型をした、鮮烈な緋色をひらめかせる広い背中が描かれた。それはもう少し先の未来のことのはずなのに、今胸に漂っているのはなんとも言えない郷愁で、なんだか奇妙な感覚だ。
 当惑しっぱなしのロナルドを見つめて、私は笑みを深める。今はまだ、どちらかといえばかわいいけれど、それでも。
「ロナルドが新横浜一カッコイイ退治人になることくらい、知ってる」
「ァ、え、エェ、エ……?」
 図書館へ涼みに行っていたヒマリちゃんが帰ってくるまで、ロナルドはまともに言葉を発してくれなかった。
 
     ∞

「スッ、好きな人ができっ」
「OK任せて応援する!」
「えっ⁈」
 高校を卒業した私たちは退治人になり。そうしてなんやかんや生きているうちに、新横浜にはかつてないほどの変態達が発生するようになった。
 そんな時分に事務所へ呼び出された私は、ロナルドの言葉を元気に遮って自信満々にグッと親指を立てた。求めていたであろう言葉を送ったはずなのにロナルドはなぜか顔を真っ青にし、テレビ前を占拠しゲームに興じていたはずのドラルクは、砂になるほど爆笑していた。

     ∞

 どういう服装が好みだろ。
 どんなものを貰ったら嬉しい?
 ねえなんか最近めっちゃ楽しそうなんですけど俺って脈ねえのかな⁈

 クール系一択。ぢまむらマネキン買いでもいいけどホットドッグTシャツはやめておきなさい。
 お前のセンスは最悪だから、センスが物を言う贈り物は絶対やめろ。あとハムカツとかも絶対ダメね。
 一緒にいて楽しそうなの? よかったじゃん、脈アリってことでしょ。ていうかあるある、大丈夫だって。だからさっさと告白しなよ。

 私はロナルドの疑問に、逐一余さず丁寧に答えてやった。
「ねえ、好きな人の写真とかないの?」
 見てみたいと私が期待を込めて覗き込めば、ロナルドはぐしゃりと顔を顰めた。その苦虫を噛み潰したような表情に、私も目を瞬かせる。からかうつもりではなく純粋な好奇心であるということは、これまでの態度をもってして、ロナルドへも十二分に伝わってるはずだ。だって私は一周目のときからは考えられないほど、とても親身になって彼の恋愛相談に乗ってあげていた。
「……ねェよ。あるわけねェだろ。盗撮するような奴だと思ってるわけ?」
「そうじゃないけど、普通に記念で撮ったりしてないのかなって。だってデート行ったよね?」
 私がなぜそんなことを知ってるかって、それはつい先日『予行練習したい』と顔を真っ赤にしたロナルドから直々にお願いされたからだ。そんな彼へ私は『いいよ!』とにっこり笑い、嬉しそうなロナルドへさらに『じゃあ即席シュミレーション開始ね』と続けたのだ。そこから私はおよそ二時間、覚えている限りのやり取りを彼へとひたすら投げ続けた。
『エッいや、もっとこう、実際にデートに行ってくれるとか……⁈』
『そんなのお金も時間も無駄じゃん』
 時折挟まるロナルドの狼狽も、一刀両断した。
 とまあ、こんな具合で。予行練習はしっかりやったので、デートも成功しただろうと、勝手に思っていたのだが。私が首を傾げると、ロナルドはますます顔を歪めた。
「…………行って、ねェ。断られた」
「えっなんで⁈」
「それは、あの……っあーもう! お前に関係ねェだろ!」
 ねェことはねェだろうが相談乗ってんだぞこっちは。
 あんまりな言い草にちょっとカチンとしたので目を細くする。さすがにロナルドも失言だと気付いたのか、「う、」と弱く唸ってそわそわ瞳を泳がせた。
「いや、だって、あの……う、ゥ……そ、そもそも、吸血鬼だし、写真、映んない、から」
「あっそうだったんだ?」
 オドオドと落とされた新情報に、ささやかな苛立ちは簡単に吹き飛んでしまった。へえそう、そうだったの! 知らなかった!
「異種族恋愛! いいと思う!」
 そっか、吸血鬼を好きになってたんだ、ロナルド。じゃあやっぱり、『人間』の私じゃ、役不足だったんだなぁ。……ん? あれ、じゃあ前回≠フデート、ダメだったんじゃん。普通に人間用のプランだったし。前、よく付き合えたなコイツ……。
「絶対上手くいくよう、私も気合いいれるね!」
「ハ、ハ……アリガトゴザイマス……」
 しかしともかく、それならば尚更不安なことも多いだろう。気が立つのも情緒不安定になるのも分かる。やるぞ、という気持ちの表明として両手を握り締めれば、力ないカタコトが返ってきた。あんまり期待にされてない? 心外だ。精神年齢だけなら、私だってもう四十は超えてるのに。
「……アアーッ! アーッ‼ クッソ、クソォ‼」
 ロナルドが急に叫んで地団駄を踏み出した。高校くらいから始まった謎の発作。私はもう慣れっこだったが、ドラルクは振動で死んだ。
「今度はどうしたの」
「……べつに! べつに⁈ てか俺原稿あっから! 今日はもうこの話終わりだから! な!」
 吐き捨てるように荒々しく言ったロナルドは、事務所の方へと大股で消えていった。バタンと不機嫌な音を立てて、扉が乱暴に閉められる。ドラルクは風圧で死んだ。うーん、二周目のロナルド、前よりちょっとだけ子どもっぽい気がする。気のせいだろうか。甘やかし過ぎたかなぁ。でもだって、若いロナルドってばすごいかわいいんだもん……。
「――写真、あるよ」
「えっ」
 砂山から、挙手をするようにニョキッと腕が生えてくる。突き上げられた白い手袋が、見せつけるように手の中のスマホを振った。
「ロナルドくんの想い人の写真。見るかい?」
「見たーい!」
 みせてみせてとその場にしゃがみ、ドラルクのスマホを見る。……なるほど、こんな人なんだ。スマホに映っていたのは、いい意味でどこにでもいそうな、優しげな笑みをした女性だった。
「なんかこれ隠し撮りっぽくない?」
「そうなんじゃないか? 私は隊長さんからマスターを経由して、さらにシーニャさん経由からのショットさん経由でもらっただけだから知らんけど」
「めっちゃ経由するじゃん」
 なんで? というツッコミのつもりだったが答えてもらえず、食えない笑みで流された。ロナルド、ヒヨシくんとかマスターにも相談してるのかな。ロナルドの恋路は、どうやら色んな人が見守っているらしい。愛されてるなぁ。
「きみはロナルドくんのことが好きなのかと思っていたよ」
 ロナルドの想い人から目を離して、顔を上げる。思ったより近い位置にあったドラルクの瞳は、愉しげに垂れていた。けれどその奥には、たしかに探るような光が宿っている。
「好きだよ?」
「まあそれはそうだろうな。でも、異性としてじゃないだろう?」
「うーん……」
「……えっそこで悩むんだ?」
 痩せこけた顔に、たちまち『なんか面白そう!』という文字が浮かんだように見えた。そのくらい輝いている。なにか享楽主義者の琴線に触れるものがあったのだろう。ここまであけすけだといっそ清々しい。私は苦笑しつつ、軽く目を伏せた。
 ロナルドのことは好きだ。幼馴染として、友人として、家族として――そして、異性として。今も昔も、変わらず好き。大好き。なにより大事でなにより大切――だからこそ。
「私、好きな人には幸せになってほしいの」
 微笑みながらそう言えば、ドラルクの目が見開かれる。なにも驚くことはない。前回、ロナルドの恋を心から応援、そして祝福できなくてあの顛末を迎えて後悔したのだから、私としては当然の選択であった。
「いやもうほんと、ロナルドにはただただ末永く幸せに生きてほしくて……」
「悟り開いちゃってるじゃん」
 なんで? という意味合いが含まれた吸血鬼からのツッコミを、私は笑顔でいなした。隠し事が多いのは、お互い様ということで。



「――てかお前いつ帰ッッッちけェ離れろクソ砂!」
 急に背後で扉が開いたせいで、心臓が大きく跳ねた。私が動くよりも早く強い力で腕を引かれ、ドラルクから引き離される。その勢いで後頭部に胸板が当たった。
「なにふざけてんだテメェ殺すぞ」
「ファーッ! 木下・付き合ってもないのに独占欲だけは丸出しの意気地無し束縛ヤバ男」
「黙れ音程バカ狂い劣化版明石家さ○ま! 額に銀で十字刻むぞ!」
 ドラルクに煽られた怒りでか、腹に回った腕にぎゅうと力が込められる。苦しさから首を回して背後の彼を見上げれば、目が合ったロナルドは数秒ポカンとしてから、パッと両手を顔横にハンズアップした。
「触ってません!」
「触ってたでしょ。別にいいけど」
「…………い、いいのかよ」
「ん?」
「おれに触られて、お前、いいのかよ」
 ロナルドは挑戦的に口をへの字に曲げ、むっつりと私を睨めつけた。顔が赤くなり過ぎているせいか、青い瞳も潤んでどこか見える。そんな改まって、今更なにを聞くんだろう。
「どうぞ?」
 私が受け入れる意思を示して両腕を広げると、ロナルドは緊張したようにビクンと固まった。喉仏が一度大きく上下する。しかし彼の腕がそろりと上がったタイミングで、思い当たってしまったことがあったので、私は慌てて「やっぱなし」と腕を交差させてバツ印を作った。
「エッ⁈ なに、なんで、えっイヤなの⁈」
「イヤじゃないけど、好きな人いるならやっぱりこういうのよくないかなって。幼馴染とはいえ」
「っ、あ……」
 ロナルドは何か言いたげに口を開ける。が、なにも言わずに閉じた。がっくり肩を落として、深い溜息を吐いた。
「……帰んなら、家まで送る」
「いらない、原稿しなよ」
「ンォオッオアア!」
 ビタンビタン跳ねるロナルドを通り過ぎ、戸口でドラルクとジョンに手を振ってから、扉に手をかける。じゃあさようなら、と事務所へと出ていき、そうして背後で扉が閉まる直前。ドラルクが「きみが意識してもらえないのは、その過剰な発作反応のせいだと思うぞ」と呆れているのが聞こえた。え、まさかあの吸血鬼さんの前でもあれやってるの? マジかアイツ。
 
- 7 -
*前次#


back
>>HOME