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船の修繕も終わり――なんか羽を生やされてるんだけど一味的にはこの改変アリなの? 空飛びます! みたいなフォルムされてるけど。船なのに。「フライングモデルだ!」とか命名されてたし。いいの??――、おじさんたちのお礼参り行ったルフィも無事無傷で帰ってきて。私たちはソラジマとやらへ向かうことになった。
あの、ところで、ねえ。
ソラジマってまさか空の島と書く? いやまさかね。空に島なんてまさかあるわけ、あるわけ――。
とか思ってたら、船は大渦に突っ込んでいて。
渦の中心から噴き上げた水柱の上を垂直に走っていて。
気が付けば、メリー号は空を飛んでいた。
「(な、何……なにが起こったの、今……!)」
激しい揺れが収まり、やっとひと心地つけるようになった頃。マストにぐったり縋りつくように凭れながら、肩で息をする。海柱を昇ってる途中、「この船の航海士は誰?!」と笑ったナミを超かっこよ〜い! って感動した以降の記憶が全然ない。黒い雲に突っ込んだとき、海の中にいるみたいに息ができなくなったのも、記憶があやふやになっている理由の一つだろう。
「おい! おいみんな見てみろよ! 船の外!」
みんながぐったりしている中、ルフィだけがいつも通り元気だ。彼の声に顔を上げれば、視界に飛び込んできたのは、どこまでも広がる白銀の大海原だった。透き通るような淡い水色の空が、大きな雲の合間からちらちらと覗いている。
羽もとれ、元の姿に戻ったメリー号は、近くなった太陽を眩く反射させる雲の上に乗ってい――え、雲の上に? 乗る? 雲なのに?
「ぅわ、あ……ありがとうございます」
「いいえ。気を付けて」
信じられなくて、つい手摺から身を乗り出してしまう。腕を伸ばして触ろうとしたら落ちかけてしまい、ロビンに助けられた。姿勢を正して、空の果てを呆然と見つめる。
「(――そうだ、ここはワンピースの世界なんだった)」
私の世界の常識なんて通じないんだ。なんだかんだいって船旅はそれなりに平和(戦闘はあれど)だったから、そんなに意識がいっていなかったけれど。そうだったそうだった、この世界はファンタジーなんだ。船は飛ぶし、雲にだって乗れるし、空には島がある――当然に。
そよぐ風の中、目をつぶって耳を澄ませる。地上の海より少しだけ高い声が、私の名前を囀るように呼んでいた。
「キャプテン・ウソップ、泳ぎまーす!」
「おう、やれやれ!」
「(いや、元気だなこの人達……)」
気圧のせいか、息苦しい胸をこっそり摩る。心なしか空気が薄い気もする。高山病のようなものだろうか。私以外の人はそんな様子は見せていないし、身体の作りが違うんだなあ。……やっぱり無理だな、この人達の旅に同行するのは。身がもたない。
「――なんか付いてきたァ?!」
……うん、無理!
雲から落ちかけたウソップに付いてきたどデカいタコのような生き物と、白目を剥いて「空島コワイ空島コワイ」と痙攣しているウソップを見ながら、改めて、もう何度思っても足りないことを思った。
そういえば、さっきルフィもロビンも雲の海の中で普通に能力使ってたけど、ここは空だから能力者でも平気なのかな。……それならちょっと泳いでみたいかも。泳ぐのは好きだった。もう泳げないけど。
あとこの海や雲についても普通に気になる。この海は浮力が弱いらしいと、ロビンがウソップのズボンに忍び込んでいた平たい空魚を見て分析していた。じゃあ地上の海より塩分濃度も低いのかな。なんならほとんど水だったりして?
「ほれ、ナツも食ってみろよ」
「えっ? んぐっ」
色々考えていたら、いきなり口に空魚のソテーを突っ込まれた。あつっ! え、この魚、さっきロビンが持ってたやつ? もう調理しちゃったなんて早すぎ――。
「あ、おいしい」
「ししっ、だろ?!」
ルフィがしたり顔で笑うので、つられて少し笑ってしまう。
口に転がるソテーは、ふわふわとしていて、柚子塩風味の味付けで、これまで一度も食べたことのない食感をしていた。
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