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 結論から言うと、私と彼らは言葉が通じなかった。
 ルフィを除いた面子が困ったり険しかったりな顔をする中、私は、異世界から来たんだし当然っちゃ当然なのかもしれないな、なんてひとり呑気に思っていた。

 そう、異世界。私はワンピースの世界に……転生? した? の? え、転生って死んだらするんじゃないの? よく分からないけど。
 とにかく、私はワンピースの世界に来てしまったらしい。非現実が一周しすぎて、もう逆にすんなり現状を飲み込めていた。まあ流行ってっからね。そういうこともあらぁな。

 でもワンピースなんて、麦わらの一味を中心とした主要メンバーの名前が辛うじて分かる程度の知識しかない。フランキーとブルックの姿が見えないが、まだ仲間になってないってことだろうか。ふーん。



 私の船? であったベッドは、ルフィのせいで大破したため、次の島で新しい船を用意する……的なことをナミに言われた、と思う。恐らく。ボディランゲージとイラストからの推察だから、もしかしたらそこまでは言ってくれてないのかもしれない。島とか、新しい船をあげるよ〜、みたいなイラストとか描いてくれてたから、多分そうじゃないかなって思うんだけどな……。これで違ったら恥ずかしいな。勘違い女すぎる。

 でも正直船なんて貰っても困ってしまう。
 だって私は航海したくてしてた訳じゃないのだ。成り行きというか……ぶっちゃけ船とかマジで要らない。そんなんより普通に家に帰らせてほしい。ていうかそもそもここが夢じゃないなら、私に帰る場所とかもうないのでは? おっとどうする? 死ぬか? 言葉も通じないし籍もないし金もないし地位も名誉もWiFiも推しもいないし。いやこれは死ぬしかないんじゃん?

 とか考えてたらロビンと目が合ったのでとりあえず笑っておいた。青みがかった深い目は綺麗だったけど、底が見えなくて怖かった。


  ✲✲✲


 私は航海の間、一味とは当たり障りのない距離感を保った。やっぱ言語の壁って大きいと思う。筆談とか身振り手振りじゃ限度がある。面倒くさいし。もちろん彼らがそんな理由で私を邪険にすることはなかった。が、こちとらただでさえタダ飯食らいのお荷物。そんな奴に対して要らない気を遣わせるのは本当に申し訳ないし、日本人として胃がキリキリしてしまう。そういう理由で、私は彼らとの交流を自主的に控えてきた。


 ただ、ルフィだけは事ある毎に話しかけてきた。
 呆れ顔のナミや、鬼の形相のサンジに蹴り飛ばされたりして回収されるまで、ルフィは知らない言語でぺちゃくちゃとひたすらに喋り続けた。大きく手を振りにっかり笑う彼に、私はただ曖昧な顔で頷いたりするだけ。意思の疎通なんてこれっぽっちもとれていない。それなのにいやほんとよくやるなぁ。言語の壁は根性じゃどうにかならないんだよ、片方にやる気がなければ。ベッドに乗って海を漂流してたのがそんなに珍しいか? まあ珍しいだろうな。それはそう。

 でもこの通り、私自身は別にたいして面白い人間でもないということは、うっすくてつまらん反応や、周囲に対して露骨に作った壁などでとっくに分かっていそうなものなのに。
 ルフィは毎日毎日、飽きることなく私に構い続けていた。
 

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