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It's fine today.
本日は晴天なり。
青く澄んだ快晴の空の下、ルフィとウソップがせっせと魚を釣っているのを眺める。この前食べたサメの天ぷら、美味しかったな。もっかい釣ってくれないかな。
「お、いたいた」
「フランキー」
背後からかけられた声に振り返る。長らく開発室に篭っていたフランキーが、何かを持っている手を振りながら私の方へと近付いてくるところだった。元から大きくはない『それ』は、フランキーが持つとさらに小さく見えた。
遡ること数日前。
私はフランキーに、この世界での唯一の所有物を渡していた。
「これをまた動かすことってできない?」
「……なんだァ、こりゃあ」
フランキーは薄っぺらい小さな板を摘み、顔の高さまで持ち上げて目を窄めた。睨むようにしながらも興味深げにしている。
「あー……超高機能のカメラみたいな?」
「たしかにレンズがあんな……動かすったって、これ、元はなにで動いてたんだ?」
「……電気?」
「デンキ?」
「…………なんらかの、エネルギー……」
「そりゃそうだろうよ」
何言ってんだと言いたげなフランキーの声に恥ずかしくなる。この世界にはやっぱり電力の概念はないみたいだ。電伝虫や貝で全てが成り立っているらしいのは、薄々察していた。
「あの、とにかくなんとかできない? お願いっ大天才のフランキー様! 兄貴! オヤビン!」
「統一しろ。まァ、やるだけやってやらァ。貸してみな!」
以上、回想終わり。
フランキーが「ほらよ」とスマホを返してくる。見た目は最後に渡したときと変わりはなさそうだ。黒い画面には、やたらと緊張した様子の自分の顔が反射していた。
「あの、どうだった?」
「ああ……」
フランキーの顔つきは落ち着いていて、表情から結果を読み取ることはできなかった。期待しすぎないようにと自分に言い聞かせながら、返事を待つ。大丈夫、元々ダメもとでのお願いだった。原理も全く説明できないでのめちゃくちゃな無茶ぶりだったのに引き受けてくれただけでも感謝しているのだ。だから、だから――。
フランキーの口が、ゆっくりと開かれる。
「おわ、っあー?!」
「デ、デケェー! ルフィ――あ、おい、ナツ避けろ!」
「えっ?」
声に反応して顔を上げたときには、もう遅かった。フランキーの数倍はありそうな大きなサメと、ルフィの狼狽した顔がすぐ目の前にあって――。
「――あっぶねェ!」
「へ」
ルフィが私の手を――スマホを持っていた方の手を、強く引く。不意の振動と衝撃に耐えきれず、手から薄い板が滑った。ルフィの肩越しに、青空をクルクル舞うスマホが視界に焼き付く。
海が私の唯一の所持品を慈悲なく呑み込んだ音が、やけに大きく聴こえた。
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