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「なあ、なあ! 実はおれたち、見ちったんだよな!」

 全身に隙間なく包帯を巻かれたナツを暗い顔で囲んでいた一味の元へ、二人の男が空気をぶち壊す勢いの明るい調子で話しかけた。二人の顔は話したくて仕方ないというように弾んでいる。

「……なにがあったの?」
「実はよ――」
「やめろ!!」

 ロビンの問いに『待ってました!』と男たちの顔が輝く。意気揚々と口を開いたが、ルフィが強い口調でそれを遮った。

「おれはなにも聞きたくねえ」
「な、なんで?! ナツがこんな怪我した理由を知りたくないわけ?!」

 森の最果てにて自身の血の海に沈んでいたナツを見つけたのは、チョッパーとルフィだ。赤くない箇所を探す方が困難だというほど血に塗れたナツを抱えて戻ってきた二人を見た一同は、そのあまりの惨状に愕然として言葉を失った。

 くまがなにもせずに姿を消したこと、ナツがこうなっていること。この二つが無関係であるはずがないと、ルフィだって分かっているはずだ。それなのになぜそんなことを言うのか。ナミはそう食ってかかったが、ルフィは未だ目を覚ます気配のないナツから視線を外さないまま、静かに口を開いた。

「ナツのことはナツに聞けばいいだろ」
「!」
「おれは、ナツ以外からはなにも教えてもらいたくねェ」

 ルフィの声に、瞬き一つでさえ憚られるような沈黙が落ちる。絞り出された低い声は、怒りを無理やり鎮めようとしているような冷ややかな硬さをしていた。

「……ま、そういうわけらしい。悪いがお前ら、もう何も言わねェでくれ」
「お、おう……」

 船長の意向がそうならば、船員である自分たちも二人からなにかを聞く訳にはいかない。サンジは煙を吐き出して、燻る先を見上げた。くまの爆弾を受けて以降、頭がどうにもスッキリしない。それこそ煙がかっているように。クソ剣士となにかあったような……。
 サンジは件の男へと視線を流す。当のゾロも、サンジと同じく引っ掛かりを覚えているような難しい顔をして、自身の頭を抑えていた。
 

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