そんな無敗のクリスマス
《野球拳大好き》
両手を組んでぐるりと回転させ、掲げた手の中を覗き込む。普通に暗い手の中しか見えなかったが、なんとなく天啓が下った気がしたので組んだ手を外す。
「ばっちこい、です!」
多分ピース。で、ケンさんはグーだ。今日、クリスマス。私の準備は万端だった。負ける気しかない! いつになく強気な私の不敵な笑みに、ケンさんもにやりと笑う。
「アウト、セーフ、よよいの――!」
よい、よい、よい! やがて――。
「参りました」
「なんで!」
眼下には全裸で土下座する恋人。全勝してしまった。
「くっそ〜普段は面白いくらいひん剥いてやれるのに……」
くそはこっちの台詞だ。なんでこんな時ばっかりゲロ弱なのだこのスキンヘッド。
「……もっかいしましょう」
「えっ俺もう皮くらいしか脱ぐもんねえんだけど。爪は着衣にカウントされますか?」
「されないです。負けたら普通に着てください」
「いやそれアンタのうまみゼロじゃん」
よく考えてほしいんだけど、野球拳なんて元からこちらにうまみはゼロだ。それなのに、わざわざこの日を選んで勝負を挑んだのは――。
「……今日、えっちな下着きてるんです」
「は」
「だからぬ、脱がせてくださいよ……ぅ……で、できるもんならですけど!」
彼の視線に耐え切れず、照れ隠しで声高に叫ぶ。唖然としていたケンさんは、目元を染めながらも、「やってやろーじゃねーの」とやっと固まっていた口角を吊り上げた。
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