三六四日をともに


《ショット》

 クリスマスが今年もやってくる。
 ショットは、クリームソーダを片手に、懐かしのCMソングのリズムに乗せ、やたら重々しくそう告げた。はあ、と適当に返事をする。
「楽しかった出来事を消し去るように……」
「楽しかった出来事なんてあったの?」
「なんでそういうこと言うんだよ! あったよ!」
「ムゲチ」
「うっせ。例えばなあ――」
 ムキになった様子で、ショットは指を折り出す。すらすらと語られる思い出たちを、私も最初はぼんやり聞いていた。けれど聞くにつれて、段々眉に力がはいっていく。
「それから――あ、ほら、あとはネズミーランドも行ったじゃんか」
「……あのさ」
「なんだよ」
 どうだと言わんばかりのドヤ顔を向けられ、困って口を噤む。だって、だってそれ全部、私との思い出では? お花見、海、お祭り、ハロウィン、誕生日……一年のほとんどを共に過ごしてきたんだぞと、本人から暗に伝えられ、気恥しさでちょっと唇を噛む。
「……ショットさん」
「はい」
「……明日のご予定は?」
「ロナルド達とクリスマスプレゼント交換会」
 いや空けとけや。
「お前は? どうせ一人か?」
「たった今ひとりにされた」
「は?」
「……イルミネーション見たかったのになあ!」
「……は⁈」
 狼狽する声を無視して立ち上がる。お勘定をしようとマスターを見れば、「ショットさんにツケておいますね」と親指を立てられた。お言葉に甘えるとする。
「おい、今の、エッお前、えっ⁈」
 一切反応せずギルドをあとにする。楽しい楽しいクリスマス。精々悩むといい。だって私だけ振り回されるなんて、納得いかないし。


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