はんぶんこ


《カメ谷レンジ》

 白い大きな円と、茶色い小さな三角。テーブルに並んだ二つのケーキに、レンジは「ええ……?」と困惑をのせて頬を引き攣らせた。恋人のそんな反応にちょっと眉根をひそめる。
「レンジ、クリスマスはケーキホール食べる派なんでしょ?」
 付き合う前に聞いた話だった。だから今日――初めて恋人として二人で過ごすクリスマス。彼のために私はこんな用意をしたのだ。喜ばれるかと思ったのに、というガッカリしている本心はつとめて隠して尋ねる。レンジは「そうだけどさ」とどこか言いづらそうに眉を下げる。
「……これが俺のなんだよな?」
 指差されたホールに頷く。
「俺、だけ? 一人分?」
 また頷けば、彼はため息を吐いた。
「さすがに恋人差し置いて食えないって」
「遠慮しなくていいのに」
 私はピースで充分だ。あ、でも一口はほしいかも。
「……普通に分け合いっこさせてほしいんですけど」
 珍しく拗ねたように尖る口、それから思いもよらぬ理由に目を瞬かせる。
「一緒に同じものを分けて共有するのって、二人で過ごす醍醐味みたいなもんだろ?」
 時間を切り取り、全世界へと発信している彼らしい言い分だなと思った。
「な、だめ?」
「……いいよ」
 でも半分は無理かも。弱気な私の言葉に、レンジは「その時は任せろ」と歯を見せて笑った。


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