GUNDAM

瞳の奥に眠る私を


レーンは、最近機嫌が悪い。

彼は機嫌が悪いときは爪を噛む癖がある。

理由はわかってる。マフティーのことで上手くいってないのだ。この間だって、せっかくの捕虜を相手の口車に乗せられて返してしまったあげく、大した結果も出せなくて上司に叱られたとか。

私としては、あんなすごいMSのテストパイロットを任せられて、生きて帰って来てくれるだけでも十分だと思うんだけど、レーンはけっこう負けず嫌いな所があるから、それだけじゃ納得いかないらしい。何より、自分の落ち度でマフティーを逃してしまったことが悔しいんだって。

気持ちはわからないでもないけど、せっかく二人きりになれたのに、ずっとイライラしっぱなしじゃつまんない。

ずっと眉間にシワを寄せながら爪を噛んでて、私のことなんて眼中にないって感じ。全然面白くないし、こっちも気疲れしちゃう。

隣に座っても、レーンはちらりとこっちを見るだけ。

私はレーンの手を取り、指を口に入れた。うわ、ちょっとしょっぱい。


「お、おい」


レーンはびっくりした顔でこっちを見た。手が引っ込みそうになったから、両手でレーンの手をがっしり掴んだ。

私はレーンの顔を見ながら、舌を出してちろちろ舐めたり、ちょっと強めに吸ったりした。始めは驚いていたレーンだったけど、だんだんくすぐったくなってきたのか、面白くなさそうな顔をして目をそらし初めた。


「レーン」


彼の名前を呼ぶと、彼と目が合う。


「今夜は私だけを見てよ。久しぶりに会えたんだからさ」


私は彼の首に腕を巻き付けて、誘うように首を甘噛みすると、視界がくるんとひっくり返った。レーンが私をベッドに押し倒したのだ。

私を見下ろすレーンの目は、険しく、でも真っ直ぐで、私しか写ってない。


「優しくできないぞ」

「かまわない」


それで私だけを見てくれるなら。

レーンが優しく私の前髪を整えてた。その指の温かさが、私の胸を熱くさせる。

私は、彼と共に深くベッドに沈んだ。





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