GUNDAM

Selfish Boy


「あっ……う……とりゃっ!」


ピコピコとゲーム音が小うるさく、やってる本人も小うるさくブツブツ呟いている。

私はオルガから借りた本から少しだけ顔を上げ、ため息をついた。これじゃあ小説に集中できない。


「っ……あっ……あ゛ーー!!」

「クロトうるさい。もうちょっと静かにしてよ」

「こっちは忙しいって!この……!とりゃっ……!」

「………」


ダメだこりゃ。何言っても聞かない感じだ。

というかいつもは黙ってゲームしてんのに2人きりになると声が出てくるのなんで?嫌がらせですか?


「もういい。部屋に行くから」


ちゃんとしおりを挟んで、私は部屋を後にしようとした。

……ら、ソファーに寝転がってたクロトに服の裾を掴まれた。


「………何」

「かまってよ」


…………?

ゲーム機からちらつかせる顔は不機嫌そうだ。でもなんでだ?意味が分かんない。


「なんで何もしてくんないんだよ!ずっとオルガの本ばっかりでさ!たまには僕にかまってよ!」

「はあ?嫌だよ。私本読みたいもん」


至極当たり前だと言うように、私の口から言葉が出てきた。なんで、わざわざクロトの相手しないとイケナイの。こいつもそんなに子供じゃないんだし。


まあでも、私もまだ子供ということなのか、こいつに付き合って、反射的に私も子供らしく対応することが間違っていた。

私の返し方がまずったのか、クロトの顔はどんどん怒りを露わにしていった。


そしてあろうことか、このバカ意味のわからないことをほざくようになった。


「スイのばーか!アズラエルに言ってやる!」

「はあ!?かまってほしいならアンタだってゲーム止めればいいじゃない!」

「僕はゲームもするしスイに構ってももらいますーぅ!!」


意味がわからん。どんだけ自己中なの。


「…………はあ。」


私は深く深くため息をついた。

……正直偉いアズラエルさんに変な告げ口されるのはごめんだ。彼は曲がりにもアズラエル上司が高い金はたいて作った人工兵器。機嫌を損ねて首を切られるのもない話じゃない。

「声出すの止めて。あとゲームの音消してね」

私は仕方なく、彼の隣に座って、ふとももに彼の頭を乗せた。

とたん、さっきの不機嫌さが嘘みたいに彼の顔は晴れやかになった。

「りょーかーい」


柔らかい声が聞こえる。ちらりと顔を見るととてもほころんでいる。


………仕方のない奴。



「やっぱりスイはさあ、僕に対して冷たいと思うんだよね。全然こういうことしてくれないし」

「週イチだから十分でしょ」


「年頃のカップルが週イチしかイチャイチャしないのはおかしいですよ!? なんつってー」

いつの間にか彼はゲームを止めて、私の上でごろごろとじゃれている。うん、本当に猫みたいなじゃれ具合だ。


「ずっと一緒に居るんだからさ、もっと楽しいことしようよ」


じゃれながらも、しっかり私の目を見て言った彼の言葉に、……少しだけときめいてしまった。




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