GUNDAM
黒猫にゃーご
人と言うのは特別で、何かに対して怒ったり悲しんだりする。
別に怒ったりすることは猫の自分にもある。でもそれは喧嘩するときだけだ。獲物をとられたり、ナワバリを巡ったときだけ。
人というものは恐ろしくもあり、不思議であった。
なんでああも自分の住処を壊すのだろう?
自分で壊して自分で泣く。
それで関係のない自分たち「人以外の動物」にも被害が来るのだからいい迷惑だ。
だから自分のいる所が瓦礫の山になっても、「餌がなくなった」程度しか思わなかった。
……自慢の艶のある黒い毛が、埃で灰色になってしまった。
……気に入らない。
気に入らないついでにお腹も減った。
そういえば最後に何かを食したのは日が3回登った前のことだ。
走れば埃は落ちる。
自分は瓦礫を越え食べ物を探した。
*****
本当に、人は面倒なことをしてくれた。
前は歩けば食べ物がたくさんあったのに、隙間という隙間を通ってやっと目の白い魚にありつけた程度だ(これは恐らく人が食べようとしてた魚。)
…まあ、生きているだけでめっけもんか。
食べ物を探している間にいくつもの死体を見た。それは人でもそれ以外でも。
ふと、何か動くものを見つけた。
あの、街を壊した、臭くて大きなものじゃない。
人だ。もしかしたら何か恵んでくれるかもしれない。
両足に力を入れて、素早くそれのもとに駆け寄った。
その「人」は瓦礫の上に力なく腰掛けていた。
「ああ?……猫か……」
たぶん、オス。言葉はわからないけど、自分に対して何か言っていることは理解できたので、自分はにゃあと泣いた。
人間にしては珍しい、首から尻尾が生えている。
「なんだ、お前も真っ黒だな。……ひとりか?」
自分はまた、にゃあと泣いた。
「こう人がいない中にお前がぽつんといたんじゃ、死神みたいだな、お前。化身とかか?」
へらりと人は笑った。力のない笑いだ。
自分はそれよりも首が動いたことで揺れる尻尾に目がいってしまう。
「死神は黒猫を連れてたっけ?……いや、そりゃあ魔女だな」
人はひょいと自分を抱きかかえた。
「死神ネコさんよ、ここであったのも何かの縁。どうだ、俺と一緒に死神業しねえか?」
温かい手が自分を撫でる。
誘われてる?
……ああ、これで自分は飢えに困ることはないのか?
ならば、自分は、同意するように、にゃあと泣いた。
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度重なる任務で心身共に疲れてるデュオさんと超シビアなネコの話。
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