GUNDAM
ちゃんと食べます
ニンジンは嫌いだ。
「スイ、人参も食べろよなあ」
「うるさい」
呆れ顔をしてるデュオの皿に、ニンジンをひょいと乗せた。
私はニンジンがとにかく嫌いで、いつもデュオに食べて貰っている。最初は普通に食べてくれてたけど、最近小言が増えてきた。
「だいたい、なんで人参嫌いなのに丸ごと炒めるかねえ」
ほら、なんかブツブツ言い出してきた。
「見た目の問題だって」
今日の晩ご飯はデュオのリクエストでステーキだ。でも肉だけじゃバランス悪いから、スープや野菜もちゃんと付けてる。
よくファミレスなんかでステーキ頼むとバターで調理されたニンジンやジャガイモ諸々出てくるじゃん?あれみたいな感覚です。
デュオが「ニンジン食べられないとか子供かよ」って言うけど、デュオだってステーキやエビフライ好きだし、おあいこだと思いますよ。
グチグチいうデュオを見てると、なんか、このままだと食べさせられる雰囲気になりそうな気がしてきた。
どうたらこうたらと私がせかすと、デュオは食べる気になったのか私の分のニンジンをフォークでさした。
「はい、あーん」
デュオは、ニンジンを私に向けて突き出した。
「食えよ、あーん!」
「嫌ですけど!?」
「なんだよ、せっかく愛しの彼氏があーん[V:9825]ってしてやってるのに!」
「できることとできないことがあるでしょ!」
いくら愛しの彼氏があーん[V:9825]とかしてくれても無理。絶対無理。
なんだよ、デュオなんかトマト苦手なくせに。今日だって私が丸々一個食べたじゃないか!
それなのに私だけ強要するの、ズルい!
「まったく……しょうがねー奴だぜ」
デュオは深ーくため息をついた。
『ママー、ニンジン食べれないー』『しょうがないわね坊や』みたいな感じでしょうがない言われても。
もういいじゃん別に、とか私がイライラしていると、諦めてくれたのかデュオがニンジンを口にくわえた。
「ん」
そしてあろうことか私に突き出した。
「いやいやいや、おかしいでしょ」
「食えよ」
「ポッキーゲーム的な感覚で?嫌だよ!」
そうすれば私が食べるとでも思ったの?嫌だよ、絶対結局おいしくないって。
散々食べる食べないで口論した後、勝敗は私に上がりニンジンはデュオの口の中に収まった。
もぐもぐとニンジンを噛むデュオを見て、危機が去ったと感じた。
そして、私はそこで油断したのがいけなかったんだ。
「んっ!」
デュオが突然キスしてきた。
しばらくは口と口だけで、にゅるりと舌も入ってくる。
なすがままにさせてると、何かを口移しされた。もうみなまで言うまでもない。
デュオの噛み砕いたそれは私の口内に入り、またデュオが深く口付けてきた。私はその異物を飲み込むしかなかった。
「うえっ……さいてー最悪……気持ち悪っ……」
「オレの愛情だろ?」
口を離したらすぐに水を飲んだ。やっぱりニンジンはおいしくない。
……オレの愛情があってもおいしくない。というか余計、不味くなった。
「あ、そういえばお前のニンジンあと3つくらいあるなあ」
「!! いいっ!やっぱ食べる!」
私はデュオの皿を奪い自分のニンジンを口に放り込んだ。
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