GUNDAM
背後、君の体温
「スイさんよお、いつになったら終わるんだ?」
「もうちょっと待って」
皿洗いをしていると、デュオがキッチンにやってきた。
……見てないけど、声からしてイライラしているな、デュオ。確かに帰ってきてからイチャイチャしてないけどさ、洗濯して掃除してご飯食べて、皿洗いまでしたら平気で3、4時間くらいかかるから。
そんな言うなら家事のひとつやふたつくらい手伝ってくれてもいいじゃない。
なんて言っても聞いてくれないんだろうな。
今流行しているんだぞ、主夫。
「皿洗いなんていつでもいいだろ?俺もう我慢の限界。かまって」
「まってって」
のしっと肩に重力を感じた。耳に息がかかる。
甘えたいのはわかるけど、私も早くデュオと遊びたいけど、でも頼むからもう少し待って!
「あ、ちょ、待ってって」
「ムーリー」
私の制止むなしく、デュオはぐりぐりと頭を押しつけてきた。手はちゃっかり腰にあるし。
「この状態でも仕事はできるだろ?」
「できるけどさあ」
少し振り向いたら唇が重なりそうだった。私はあわてて向き直る。
そりゃあ、確かにできるよ?できるけど、やりにくい。腕が邪魔だし、その、手が振るえてうまく皿が持てない。
顔が真っ赤なの、耳が真っ赤なの、気づかれませんように。
「んー、シャンプーのいい匂いがする」
「変態」
「落ち着くー……」
私の首にすりついたり、髪の中に顔うずめてすーはーしたり、あんまり自由すぎるでしょ。
「……この体制だとキスできないのが難点だなあ」
「!!」
思わず皿を落としてしまった。派手な音がして、思わずびくってなった。
「なに?俺のセリフにときめいた?」
「そんなわけないでしょデュオのばか!」
ホントは後ろを向いて鳩尾でも殴ろうかと思ったけど、するには近すぎるからぐっと我慢した。
バカ、バカ、デュオのバカ。あとで覚えておきなさいよ。
……皿、割れていなくてよかった。私はすぐに泡を落として乾燥機に入れた。
「はい、もう終わりました。いいよ」
手を拭いてデュオの方に向き直ると、「待ってました」とばかりに超笑顔。
「そんじゃあ、キス、いいよな?」
私が返事をする前に、デュオは唇を重ねた。
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