青の破軍

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「おやっさん!」

「アイリン! 上はどうなってる?」


私はオルガの命令でおやっさんの所に走った。おやっさんも、次々壊れるMWの修理で大忙しだった。


「オルガから命令。あれを使えるようにしてって」

「なんだって? あれをか?」

「パーツはあるんでしょう? 私のHi-νはまだ使えないから、すぐにでも出せるようにしないと」

「おいおい! マルバには通しちゃいねえんだろ? 後で大目玉を食らうぞ」

「相手はMSもいるから! MWだけじゃ絶対に助からない!」


MSと聞いて、おやっさんの顔は一気に険しくなった。

おやっさんは一番MWのことを知っている。だから、MWじゃMSを倒せないことは誰よりも理解してるはずだ。


「ヤマギがあとから来る。クーデリアさんもビスケットが連れてくるから。私は上の手伝いをしないと」

「お嬢さんも連れてくるのか」

「ここのほうが安全でしょ? 早くしないと」

「……わかった。ここは任せとけ」

「ありがと、おやっさん」




******




「アイリン! おやっさんと話は通じたか?」

「準備してくれるって! 」


おやっさんと話をつけた後は、また急いで地上に向かった。

おやっさんも大分忙しそうだったけど、上は比べ物にならないほど泥沼化している。

ユージンのMWに乗って色々指示をしていたオルガに、少しだけ安堵の表情が浮かんだ。


「よっしゃ。ちっとくらいMW使えるだろ! ダンジが出るからその手伝いをしてくれ」

「わかった」


私はダンジとタカキを引っ張って空いてるMWへ走った。


「アイリンさん、MW使えるんですか?」

「見よう見まねよ。さ、背中出して」


ダンジの背中に阿頼耶識をつけた。

……いつも思うけど、普通に成長していればまず背中にこんな突起物は生まれない。

体に異物を取り込んでいるという証。正直、見ていて痛々しかった。


「不備はない?」

「大丈夫です。いけます」

「よし。……ダンジ!」


私は誰も見ていないことを確認して、ダンジをぎゅっと抱き締めた。


「げんかつぎ! こんなことでくたばったら、承知しないからね!」


確か、ダンジってでっかい胸に包まれて死にたいとか言ってたんだよね。

これでダンジが頑張れるのなら、このくらい!


「アイリンさん……」





「正直アイリンさんのおっぱいそこまで大きくないからなんとも……」

「てめえ私がうっかり絞め殺さない内にさっさと出撃しな」


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