ホワイドントキャッチアップ
「お待たせ。待たせてゴメンね」
「そんな待ってないし大丈夫よ。ね、蘭!」
「うん、私達もさっき着いたばかりだから!」
「そう言ってもらえると有難い。ジョディ先生も待たせてゴメンね」
「No problem.気にしないでクダサーイ!」
ある休日。蘭ちゃん達に誘われテレビでも話題の卵粥を食べにデパートに訪れていた。デパートのレストラン街には京風のラーメンに洋食店、イタ飯、中華、色々なジャンルの料理店が並んでいる。その中でもかなり目立つのは樽雅亭。テレビでも話題に上がるだけあり行列が出来ていた。
「うわぁ、すごい行列……」
「待つだけで1時間くらいかかりそうだね」
「大丈夫。この店、回転早いからすぐ食べられるよ!……あれ?あそこに並んでるのコナン君たちじゃない?」
「oh!ホントですね!」
後ろからジョディ先生がコナンくんに「Hey!」と声を掛ける。その声に驚いて肩を上げてコナンくんが振り向く。
「coolkid!お久しぶりですね?」
「ジ、ジョ……」
「ジョディ先生?おお、それに蘭くんと園子くん、空映くんも!」
阿笠博士に「こんにちは!」と愛想よく挨拶をする。問いたげな眼差しを向けて「どうしたの?どうしてここに?」と聞いてきたコナンくんに、園子ちゃんがコナンくんに身長を合わせて「樽雅亭を食べに来たのよ」とムッツリ顔で言う。
「悪い?」
「わ、悪くありませーん……」
「とっても美味しいってジョディ先生と空映に教えたら連れてって」
「yes!日本料理、healthyでVery Very goodね!」
「私もテレビで見て気になってたんだよね」
「な、なるほどな!」
「それより、コナンくんたちこそどうしたの?今日は哀ちゃんの風邪のお見舞いに行くって言ってたのに」
その問にコナンくんは「あぁ、いや……」と誤魔化そうとする。
「哀ちゃん?」
「そ、そうなんじゃ!今日はその哀くんを……」
「ここに連れてきて、その卵粥を食べようと思ったんだけど……風邪がひどくて無理そうだから、誘わなかったんだ。」
あはは、と苦笑いをしながら「ね、博士?」と声をかける。それに合わせて博士が「あ、ああ。そうなんじゃよ!」と言った。隣のジョディを見ると何か考え込んでいる顔が目に入った。
今の会話に気になることがあったということだろうか。しかし今のはどう考えても日常の会話だ。
「思いっきりサンデーをご覧の皆さん、見てください!凄いですよね?この大行列。ここ、東都デパートにあるレストラン街なんですが……」
周りに集まる人混みに、カメラマン。中央で話しているのはグルメコーナーの加藤朋美だ。「テレビで話題だから食べたくなっちゃってさ」というコナンくんを無視して、女子二人の意識はそちらに向いた。
「それではまた別の方にお話を伺ってみましょうか。……ボウヤ、ちょっといいかな?ボウヤも卵粥を食べに東都デパートに来たのかな?」
「あ、ああ……うん。で、でもいっぱい人がならんでるから、止めにするよ」
「あら、そうなの?」
テレビのインタビューを終えると「ってわけだから僕達は帰るね」と言い出した。その言葉に博士は「え」と驚きを漏らした。急かすように「さ。博士行こう、早く!」とコナンくんは博士の上着を掴み走り出した。
「ちょ、ちょっと!コナンくん!?」
「放っておきなさいよ、蘭」
「でも……」
「どうせガキには分かんない味だから」
案内されたのは窓際の席だ。蘭ちゃんの言う通り、あんな行列に並んでいたというのに数分ほどで入店出来た。
「最近雨ばっかね」
「園子が雨降らしてるんじゃない?」
「私が雨女なわけないでしょ。空映こそ雨乞いでもしてるんじゃないの?」
「そんなことで雨降るなら世界各地で雨乞い流行ると思うよ……」
卵粥を食べ終わり、窓から外の様子を眺めているとパトカーがデパートに集まっている光景が目に入った。
「ちょ、パトカーこのデパートに止まったわよ」
「事件でもあったのかな?」
「ひょっとして、またあの眼鏡のガキンチョ、事件に巻き込まれてたりして」
軽く笑いながらそんな冗談を言う園子に「まさか!」と苦笑いを返した。
「そんな何度も事件に巻き込まれるわけが……」
「seeing is believing.見ることは信じる事です!行ってみましょうか?」
そう言ってジョディ先生は席を立ち上がった。
案の定、コナンくんは事件に巻き込まれていた。顔見知りであった刑事さんに「コナンくんを迎えに来たので通してほしい」と頼めば簡単に通してくれた。
地下駐車場の警察が集ってる事件現場の真ん前に黄色のビートルは止まっていた。博士の愛車だ。コナンくんは窓越しから博士に何かを話していた。その姿は焦っているようにも見えた。
「Hi!"奴等"って誰のことですか?」
その声にコナンくんは素っ頓狂な声を上げて振り向いた。
「コナンくん、やっぱり事件に巻き込まれてたのね!」
「う、うん……」
私たちがここに入れたのに疑問を持ったのか「でもなんでここに入れたの?」と聞いた。警察や事件関係者しか入れないはずなのに、と言う少年に、「アンタを迎えに来たって言ったらいれてくれたわよ」と園子ちゃんが答えた。その答えにあはは、と苦笑いを浮かべた。
「あら?哀ちゃんも来てたんだ……」
蘭ちゃんが車の後部座席を見てそう言った。コナンくんは「哀ちゃんが来ていない」と言ったが、彼女がここにいる理由を隠す必要でもあったのだろうか。
その言葉に「そ、そういえば」とコナンくんは動揺しながら「園子姉ちゃん名探偵だったよね?」と聞いた。
「え?」
「これから警備室にカメラの監視カメラを見に行くんだけど、一緒に行かない?」
コナンくんは「ね、行こうよ?」と言いながらジョディ先生の方に視線を向けた。ついに耐えられなくなったのか「ねえ、園子姉ちゃん!ね、ほら。先生も!」と言いジョディ先生の手を掴み引っ張る。その態度に蘭ちゃんが「ちょっとコナンくん!」と宥める。
そしてジョディ先生の目が車の後部座席に眠る少女に向いた。
「……で、どうよ名探偵?」
「なにか分かった?」
園子ちゃんに何かわかったか聞くが、語られたのは三人で首を絞めたという迷推理であった。
「ねえ!だったらもう一度、あの車のところに戻ってみたら?何かわかるかもしれないよ」
コナンくん提案に高木刑事が目暮警部に「警部」と声をかける。現場百遍というし、と言って現場に戻ることとなった。
そして事件現場に戻り、容疑者の車の中に入った園子ちゃんによりあっという間に事件の真相が暴かれた。
「Sorry、私用事を思い出したので先に帰りますネー!」
「わかりました!蘭ちゃん達に伝えておきますね」
「Thank you、ではまた学校で会いましょう!」
バイバイと手を振るジョディ先生に手を振り返した。