菅原家の夕方
『そろそろ帰ってくるな〜。』
時計を見ながら洗濯物を畳んでいると数分後にガチャリとドアの開く音。
「ママただいま〜!!」
「ただいま!ママ!」
『おかえり〜!』
ドアの開く音と同時に駆け込んでくる音。そして小さい二人が私に抱きつく。
これが好き。とても好き。
だからできるだけお迎えは2人に行ってもらいたいのだ。
「ただいま。」
「ただいま、腹減った。」
『おかえり!お腹空くの早くない?』
無愛想な二人がただいまと言う。
足元にギュッとくっついている2人の様な時期があったのが信じられないくらいに無愛想。(反抗期が来てないだけマシだけどね…)
私は聞きたい。
そんな無愛想だから、彼女できないんじゃないの?…と。
自称、モテるけど無視する蛍とモテるけど惜しい飛雄らしい…
『じゃあ、みんな手を洗ってきて?今日はアップルパイ作ったんだよ〜!!』
「忠、翔陽行こう。」
「蛍にいちゃん嬉しそう!」
「アップルパーイ!!」
「翔陽、転ぶぞ。」
目を輝かせる蛍はこの家族一の甘党。
そして、甘いものになると細かい。
『喜んでもらえるといいんだけど…。』
そう言いながらも微笑んでしまう私はかなりの幸せ者だと思う。
「母さん、アップルパイ切れた?」
『ちゃんと手、洗った?早くない?』
「あ、美味しそうじゃん。」
『キイテマスカ?』
スタスタとケーキを運ぶ次男を見て少し笑ってしまった。
『少しでも大きい方を取ろうとするのは相変わらずね。』
そう言いながら、ケーキを持っていく。
「あ!ママ!」
「あ!アップルパイ!!!」
『翔ちゃん、ママとアップルパイどっちが好きなの?』
「ママ!」
『翔ちゃん…!!』
「ケーキちょーだい。」
『はいはい、どーぞ。』
アップルパイを渡して、自分も座って息子達の食べる姿を見る。
「ママ、美味しい!!」
『本当!?良かった〜!』
「翔陽、ママのケーキ好き!!」
『ありがとう、翔ちゃん!』
ニコニコのチビ二人とは対象に黙々と食べる二人。
『美味しいですか〜?』
「母さんの料理がうまいの決まってんだろ。」
「母さんの料理で不味いものなんて食べたことないけど。」
そう言い終わるとまた黙々と食べる。
急にそんなことを言われたら誰だって嬉しくなるでしょ?
まさに、幸せの絶頂です