私の息子!(蛍編)
「え、嫌だけど。」
菅原家次男、菅原 蛍。
『お願い!!ジャガイモないとカレーできないの〜!!』
「飛雄に行ってもらいなよ。」
『飛雄は翔陽をお風呂に入れてるの分かってるでしょ!?』
とにかく減らず口で長身。
どこの誰に似たのかしら。
「蛍は母さん似じゃね?」
子が子なら親も親。
もしかしたら、私の青年期は減らず口だったのかもしれない。
「ちょっと、絶対失礼なこと考えてるでしょ。僕は素直で良い子だけど。」
『本気で言ってるの?』
よくもまぁ、素直なんて言葉が出てきたものだ。
『この家族で1番素直じゃないよ?』
「え、母さん、目が節穴なの?」
『……。』
とは言え、優しい面だって沢山あります。
「あ、翔陽。これ買ってきてあげたよ。これは忠ね。」
「わぁ〜ハイレンジャーだ!!ありがとう!」
「ありがとう!」
「どういたしまして。」
それに、見えない所で努力する子。
「ねぇ、今日のゲームのローテーション、変えたほうがいいと思うんだけど。」
「お前、なんで家で言うんだよ。体育館で言えばいーじゃねぇか。」
そして、やっぱり優しい。
「馬鹿なの?こういうのを飛雄が言えばバレー馬鹿すぎる飛雄でも、みんなついて行こうって気になるでしょ。」
まぁ、素直じゃない分、口は悪いけど…
「はぁ!?馬鹿だと!?」
飛雄はホントに馬鹿なのかもしれない……
いや、蛍の言い方もかなり悪いのだけれども。
『ほらほら、ご飯食べるよ〜』
「今日は何ー!?」
『カレーライス!』
「温玉…!!」
『はいはい、つけてあるから。』
そんな事を言いながら盛り付ける。
そして何も言わずにスッと皿を持っていく蛍。
『あ、ありがとうね。』
「いいよ、別に。」
この子は褒められる事に弱い様で、照れる癖があります。
ふふっ…顔真っ赤。
そんな事を思いながら、明日はショートケーキを作ってあげよう。
なーんて思うのだから親バカですよね。
*
*
*
孝支が帰ってくると蛍はよく孝支と話します。
「父さん、おかえり。」
「お〜蛍〜!ただいま!まだ起きてたのか。」
例え、遅い日でも蛍は「おかえり」と言うのです。
「忠と翔陽は寝たけどね。」
「まぁ、こんな時間なら寝てなきゃ駄目だべ〜」
「…仕事大変なの?」
「まぁ、今は忙しい時期だからな〜もう少ししたら落ち着くべ!里紗と飛雄は?」
「飛雄宿題やるのを見張ってる。」
「え?」
「この間、保護者面談で課題提出状況が悪すぎるって言われたんだって。」
「…それは駄目だな。」
そして、孝支の怒る姿を私の次によく見ているかもしれません。
『あ、おかえり。』
「おかえり、父さ…」
「飛雄、課題提出してなかったの?」
「!?蛍!てめぇ!!」
「そこに座りなさい。」
飛雄が焦りながら弁解する姿を笑って見ている。
『あんたねぇ…』
「いや、飛雄が悪いでしょ。」
『もう…孝支、ご飯出来てるから。飛雄、今日頑張ったのよ。だから許してあげて…』
「飛雄、大丈夫なの?」
放心状態の彼を見てさすがに口にした蛍。
「お前のせいだーー!!!」
「わっ!」
飛雄が蛍の頭をグシャグシャにする。
『でかい子供ね…』
「本当にそうだな。」
何がともあれ、このメガネの高身長の息子は少しひねくれているものの、心優しい子供です。