バッドセブンに悩みを




『さて、翔ちゃん、忠。今からママと飛雄はお話しなきゃいけないから、蛍とお菓子でも買っておいで!』
「飛雄兄ちゃんとお話?」
「翔陽もお話したい!」
「違うよ、翔陽、飛雄は今から怒られるんだよ。」
「え、飛雄兄ちゃん怒られるの?」
「悪い事しちゃったの?」
「そうだよ、だから僕とお菓子買いに行こう?」
「ママ、飛雄兄ちゃん怒らないであげて!」
「僕、お菓子我慢するから!」
『…怒らないから。飛雄の分のお菓子も買ってきてくれる?』
「わかった!!」
「買ってくる!!」


ニコニコと笑う可愛い息子達を見ながら蛍の頭を叩いた。


「痛いなー。」
『蛍、2人の事よろしくね?』
「…ハイ。」


多分、今の私は最年少組には分からないだろうが、すごく怖い笑顔だろう。だって、蛍ですら素直になるのだから。
飛雄に至っては、正座してますから。


『気をつけてね、二人とも、蛍の言う事を聞くんだよ!』
「はーい!」
「行ってきまーす!」


ガチャンと扉が締まれば、試合開始の合図。


『さて、飛雄。あんたの部屋のベットの下から出てきたこの可愛らしい点数のテストは何だろう?』
「…それは、国語のテストです。」
『見れば分かる。』
「すみませんでした!!!」
『あんた、中3だよ!?こんな点数で白鳥沢行けると思ってんの!!??』
「…スポーツ推せ…」
『来なかったらどうするの!!』
「…。」
『はあ…あんたねぇ、二桁ならまだしも…一桁ってどうよ…』
「…ラッキーセブン」
『ふざけんな。』
「はい。」
『バレーをしている飛雄は応援するよ?でもね、こんな点数だと高校でバレー出来ないよ?』
「…うん。」
『…孝支に一回叱られるしかないか。』
「!?」
『孝支はバレーやってても点数よかったよ〜?』
「すみませんすみませんでした!!だから言わないでください!!」
『いや、このテスト見つけたのは孝支だから。』
「え!?」
『あんたを起こす時に見つけたんだって。』


飛雄が絶望の淵に立たされた瞬間だった。


『まぁ…その分バレー頑張りなさいな。馬鹿はスポーツ推薦で特待生として行きなさい。授業料の無償よ。』
「お、おう。」
『さてと、孝支が帰るまでに心の準備しとけ〜』


するとガチャンと扉が開き、閉まる音がし、走ってくる二つの影。


「飛雄兄ちゃん!ママ!ただいま〜!」
『おかえり!』
「おう。」
「あれ、もう終わったの?」
『孝支に託すわ。』
「うわ〜飛雄乙。」
「蛍、お前こそどーなんだよ!!」
「僕?こんな点数取るわけないじゃん。」
『飛雄、相手が悪かったわね。蛍は今回かなり良かったのよ。』
「ちょっと、そんな死にそうにならなくてもいいデショ。
飛雄はバレーをする為に生まれてきたようなもんデショ。」


蛍なりの励ましを受けながらも飛雄にその時はやってきた。


「ただいま〜!」
「あ!パパだ!!」
「おかえり〜!!」
「お〜ただいま。」
『おかえりなさい。よし、パパ帰ってきたからご飯にしようか!』
「うん!」
「飛雄。」
「はい。」
「ご飯食べたら話な。」
「…はい。」


珍しくおかわりをしなかった飛雄は孝支と一緒に飛雄の部屋に向かったようです。


「里紗。」
『あれ、飛雄は?』
「あぁ、お風呂へ行ったべ。」
『そう。…孝支、なんて言ったの?』
「まあ、色々怒ったけど、最終的にはこの点数なら白鳥沢行かせません。って。」
『あらら』
「まぁ、スポーツ推薦で特待生なら良いとは言ったべ〜」
『…私も同じこと言ったわ。』
「あそこ、学費がな〜…」
『青葉城西ならまだ安いんだけどね…』
「私立高校で一番高いからな〜」
『まぁ、行きたいところに行けると良いんだけど。』
「…7点か。」
『7点ね…。』


ラッキーセブン。いやいや、全然ラッキーじゃない!
そんなカワイイ数字に頭を悩まされたのであった…


Noah