俺はバレーを小さい頃からしてる。
リベロというポジション。
リベロって、小さいやつがやるって思うだろ?
実際、俺はまぁ…身長小さいし…
『はぁ?そんな事言う奴いるの?西谷は小さいからやってるんじゃなくて、そのポジションが好きで得意だからやってるんでしょ。』
そう言われたのは中学二年生の時。初めて同じクラスになって、隣の席になって、いつのまにか何でも話せる友達になってた。
そんな美月に言われた一言。それは今でも忘れる事のない言葉。
そして俺は今年で高校二年生。
俺は可愛いんじゃない
背が小さいとか、可愛いとか、もう気にしないから。
君だけにはカッコイイと言わせたいんだ!!
「オーーッッス!」
「おはよー!西谷〜〜!」
「おっす、ノヤッさん!」
学校でみんながおはようと言ってくれる。
『おはよう、西谷。今日も朝練お疲れさん。』
「おう!」
俺の後ろの席の美月。
美月は誰にも媚びる事なく、サバサバとした性格。そんな美月と話すのは楽で楽しい。
「そーいや、お前とこれで4年連続で同じクラスだな!」
『中学二年生になるまであんたの事知らなかったのにな〜』
「うそつけー!さすがに知ってただろ!!!」
『ぜーんぜん!』
キンコンカンコンとなるチャイム。そんなチャイムさえも邪魔だと思う。最近までは親友だからそう思うのだと思っていたが、どうやら違うらしい。
「それって好きなんじゃねーの?」
龍が言った言葉に純粋に迷った。
これが恋と呼ばれる感情の様だ。最初はあまりよく分からなかったが、確信に変わった。
俺は美月が好きだ。
…よく、男気溢れてるとか、言われるけど、恋って奴には相性が悪いらしい。
『西谷、何ボーッとしてんの?』
「え、いやなんでもねー!」
好きなんて言えねーよ。
美月が俺をどう思っているのか、知ることすら怖かった。
『隠し事してるでしょ?』
「し、してねーよ!!」
『馬鹿正直なんだから、嘘つくのは諦めた方がいいよ?』
「本当に何もねーよ!!」
[ふーん?』
見透かされたような心地にいてもたっても居られなくなり、その場を立つ。
『西谷?さっき予鈴なったから、もう授業始まるよ?』
「…いい!」
『は!?』
驚くあいつを背に、クラスを飛び出した。いわゆる、サボり。
バレたら大地さんに絞められるな〜
『サボりですか。』
「え!?お前、なんで!?」
クラスにいるはずの美月が走ってここまで来たようだった。
『サボったこと無いから、してみようと思って!』
屋上の扉を開けて、背伸びする美月。
『あーあ、サボっちゃった。』
チャイムの音が鳴り響く。
「変な奴だよな、美月って。」
『心外ですね。」
「来なきゃよかったじゃねーか。」
『私の可愛い弟が心配でねぇ…』
悪戯が成功した時のような笑顔で笑う美月に少しだけ心が痛む。
「美月だけだぜ?俺を可愛いって言うの。」
『可愛いじゃん。』
そう言われ、なんだか複雑。
「可愛くねえよ。」
『そーかな〜』
「俺は可愛いんじゃない!」
胸を張って言うと美月は笑った。
『別に、可愛いだけとは言ってないよ。』
「え?」
『西谷はみんなのヒーローみたいでかっこいいよ。』
そして俺に近づいてこう言った。
『あともう少し、背丈が伸びたら、私の気持ち、教えてあげる。』
一気に顔が熱くなった。きっと、今の俺は真っ赤だろう。全て、お見通しと言ったような笑顔。
あと1センチ。
可愛いくてかっこいいより、本当にかっこいいよ。って言わせてやる。