そうじゃない、言いたい言葉は

『あれ、赤葦くん!部活終わったの?』

声の方へ視線を向けるとそこには先輩がいた。












そうじゃない、言いたい言葉は
想いを言葉にするのは難しい。









バッタリと出会ったのは木兎さんのクラスメートの美月さん。

「はい、今終わりました。美月さんは何故ここに?」
『あー、委員会が忙しくてさ。』
「体育委員…でしたっけ?」
『そうそう、よく覚えてたね!』
「この間言ってましたから。」

違う、あなたの事だから覚えているんです。

『そっだっけ?まぁ、お疲れ様!どーせ、木兎待ってるんでしょ?』
「はい。」
『木兎が来るまでいるよ。つまらないでしょ?一人だと!』

木兎さんとどこか似ている雰囲気。
サバサバしてて、ハッキリ物を言える美月さん。

『バレー楽しい?』
「はい。」
『だよね、赤葦くん、バレーの話するとき目が少しキラキラして見える!』
「そ、そうですか?」
『うん!あんまり表情変わらないけど、それでもバレーの時はキラキラしてる!』

それを気づいてくれる人って、中々居ないんですよ。

「赤葦〜!あ、美月も一緒か!」
「遅かったですね。」
『赤葦くん待たせて、可哀想じゃん。』
「わりーわりー!じゃあ、帰ろーぜ!」

3人で並んで歩く。テンションが高い木兎さんとそんな木兎さんを煩いという美月さん。
対照的だけど何となく似ている。

『赤葦くん、こいつのお世話は大変でしょ?何かあったら、もう110番していいからね?それが私に言っていいからね!』
「はい、そうさせていただきます。」
「ヘイヘイヘーイ!110番はないだろ!」
『あ、そういえば、赤葦君のLINE知らないな。教えてよ!』
「スルーはひどすぎだろ〜!」
『木兎、少しは静かにできないの!?』

LINEのQRコードを見せてくれる。LINEの交換、結局言えないまま美月さんが言ってくれた。
どうしても、いつもの自分ではいられない。

『私、こっちだから!』
「俺もそっちなので、送って行きますよ。」
『優しいね、木兎なら絶対そんな事言わないよ。』
「おー、赤葦が送ってくれるのか!俺が送ろうと思ったけど、それならいいな!」
『送ろうと思ってないでしょーが!』
「またなー!美月と赤葦〜!」

ホントに近所迷惑でしょ!と言いながらも笑いながら手を振る美月さん。
そうですね。
そう言いながらも少しだけ、木兎さんと美月さんの仲の良さに嫉妬した。

『あ、私の家ここなんだ〜!』

ある一つの家の前に着く。
もう少しいたいです。
なんて言うことは出来ず、

「それじゃあ、俺はこれで。」

この言葉しかでてこない。

『今日はありがとうね。また明日ね!』

ニッコリと微笑んでそう言う。
また明日ねと言う言葉が心に響く。


「はい。また明日。」

美月さんが家に入るのを見届けて、踵を返す。

そしてすぐに届いたLINEを開く。

赤葦くん、気をつけて帰るんだぞ〜!

美月さんらしいな。
そう思いながら、はい。ありがとうございます。と送る。
好きだなんて中々言える言葉じゃないけど、いつか言うつもり。

あ、ねぇ、今度お礼させて!
わざわざ遠回りさせちゃったから!

それまではーー

それなら、試合を見に来てください。

俺らしく、美月さんに俺を見てもらおう。
少しでも貴方の似合う人になりたいから。



Noah