それはそれは偶然が偶然を呼ぶようなもので。
負けでも幸せ
私が負けた相手から
いつも幸せを貰っているのです。
私は烏野高校の特進で、彼もその内の一人で。
クラス替えのたびに、「また同じだべ〜」なんて笑う彼に「え〜」なんて言いながらも笑いあって。
本当に偶然。
偶然同じクラスになった。
そして仲良くなった。
いつのまにか、よく話すようになった。
そしてこれも偶然。
ーー正直、部活を続けてお前にメリットがあるとは思えない。
ーーー先生、俺…メリットがあるからバレーやっているんじゃないんです。
聞こえてしまった声に立ち止まる。
「えっ、あれ吉村?」
「あっ…」
どうして立ち止まってしまったんだろうと後悔しながら漂う沈黙。
「そんな顔すんじゃねーべ!」
と笑顔で私の頭をグシャグシャと撫でる。
いつだって菅原は私に弱いところを見せない。
そのくせ、私の弱い部分は全てお見通し。
たまには私に頼ってくれてもいいじゃないか。
「聞くつもりはなかったんだけど…」
「うん、お前のことだろーから、それは分かってるべ。」
「でも、菅原は私に知られたくなかったでしょ?」
「え?」
「だって、菅原は絶対に私に弱いところを見せないもの。」
少しだけ驚いたような彼。
そんな彼が言った言葉に次は私が驚いた。
「そりゃ〜好きな子にはかっこいいところだけを見せたいからな。」
勝ち誇ったように言った言葉に私はポカンと口を開けているだけだった。
「じゃ、部活行ってくるな〜」
「えっ、いや、ちょっと待って!」
すると彼は
「お前も、俺と同じ気持ち…だろ?」
「なっ!!?」
「えっ、違うの?」
私の知らない一面。
なにこれ、ズルすぎる。
「違く…ない。」
その言葉に満足したように、彼は私の頭を撫でた。
「よろしくな、美月。」
ものすごく負けた気分だけど、こんなにも幸せなのはやっぱり恋の力なのだろうか。
fin