遠距離恋愛

『もしもし?』
「やっほー!美月ちゃん!及川さんだよ☆」








遠距離恋愛
どんなに遠くにいてもあなたの声が聞けるから、
明日も頑張れる。








『…元気ですね。今日も。』
「美月ちゃんと電話できちゃってるからね!」


この元気に電話を出ているのが私の彼氏の及川 徹。
青葉城西高校に通っていた同級生。そして、バレー部のキャプテン。
今もなお、強豪校と呼ばれている。そんな高校のキャプテンなのだから上手に決まってるよね。
彼は地元を離れ、東京の大学に入学した。

かくいう私は、地元の大学に入学し、平凡な女子大生として生きている。


『もうすぐ8月終わるね。』
「ごめんね、帰れなくて…」
『気にしないで、徹はバレーに集中してくれた方が私は嬉しい。』


もちろん、スポーツ推薦で大学に行った彼はバレーで忙しい。
しかも今年から日本代表にまで選ばれちゃって…帰ってくる日なんてほぼなかった。


「美月ちゃんって本当に最高の彼女だよね。」
『どうしたの、いきなり真剣な話し方して…』
「ん?だって本当のことじゃん?」


付き合った時、私達はお互いを好きだなんて思ってもいなかった。言ってしまえば、お互いを利用した。
彼はストーカー気質のある子から逃れるため。
私はうざい元彼に見せつけるため。
何故、相手に彼を選んだのか、
何故、相手に私を選んだのか、
理由は簡単。お互いが好きではないから。
女にヘラヘラと営業スマイルを振りまく彼を見て嫌いだと思っていたし、
思ったことを何でも言う私には友達が少なく、そんな私を見てバカな女だと思っていたらしい。
まぁ、過去の話はこれくらいにしておいて、


『そういえば、テストの成績どうだったの?』


沈黙が語るとはこういうこと。


『…卒業できるの?』
「するから!!」


テスト期間、毎回やばかったことを覚えていないのだろうか。


『ふふっ…』
「どうしたの?」
『あのさ、付き合った時のことを思い出しちゃってさ…』
「あーいっそのことドラマにだって出来るくらいの進展だったからね。」
『好きになるなんて思ってなかったしね。お互いの問題が解決したら終わりの関係だったもんね。』
「すごいと思うよ当時の自分。こんなに好きになる子をなんだかんだでゲットしちゃってるからね。」
『徹…』

貴方に会いたいと思ってしまうじゃない。そんな優しいことを言うなんて反則だよ。

『いつもね、電話してると思い出すのは高校時代のこと。徹と一緒にいて楽しかったなって思うの。貴方と過ごした記憶が高校時代で止まってる。』
「美月ちゃん…」


きっと貴方は謝るから、私はすぐに言うの。


『9月5日9:30に東京駅迎えに来てよ。』
「え?」
『部活、オフなんでしょ?会いに行く。』
「え、本当に!?」


嬉しそうな声に私も嬉しくなる。


『徹、新しい思い出作ろうね。』


その言葉に続けて

大好きだよ。と想いを乗せた。



fin


Noah