「………んだよ、これ……」

しばらく連絡が無かった彼女から、数分の間に大量の着信。

そして、その下に残る『ずっと連絡できなくてごめんね』から始まるメッセージ。

不要な言葉は一切なく、ただ伝えたいことだけを打ち込んだと思われるそのメッセージは、変換の手間も惜しかったのか。所々ひらがなのまま送られていた。


『あげる。つかって』

『黒崎くん』

『だいすき』

『ありがとう』


そして、死なないでね———。


「………っ」


絶対におかしい。

なんなんだよ、このメッセージ。


添付されたファイルを開くのも怖くて、すぐに電話を折り返したけど、やっぱり名前には繋がらなかった。

「名前……」

お前、一体どこで何してんだよ。

俺を置いて、一人でいなくなるなよ。

「くそっ……」

何度折り返しても繋がらない電話に、舌打ちしながら名前とのトーク画面を見つめ返した。


あの夜、俺が何度伝えても、返してもらえなかった言葉。

だいすきだというその一言に、泣きながら俺を受け入れてくれた名前の顔を思い出す。

追いかけても追いかけても、逃げるように逸らされた顔を伝う涙を拭って、何回好きだと言っただろう。

いつもなら、可愛く笑って、わたしも、と返してくれる彼女の拒絶に気が狂いそうになったけど。
結局、あの時だって名前は俺のことが好きだったんだと思うと、どうしようもなく胸が苦しかった。


やっぱり、ちゃんと話したい。

俺だって、名前が好きだよ。

誰より一番、世界で唯一の好きな人。

ありがとうなんて言葉で、勝手に終わられてたまるか。

「………っ、」

再生したファイルの音声を聞きながら、彼女への愛しさが募って泣きなくなった。

好きで、好きで。

大好きで、愛しくて仕方ないのに。

どうして、名前は今ここにいないんだよ。


焦燥と不安の中、ようやく震えたスマホの画面を確認すると同時に、地面を蹴った。