「で、どういうこと。何でアンタが名前の居場所を知ってんの」
「何かあれば、力になるよう言われていたからな」
「は?もしかしてずっと名前と繋がってたってこと?」
「違う」
「ならどういうことだよ」

突然の着信に従い、指示された場所へ来てみれば、すぐに行くぞと見慣れた車に乗せられた。

どうやらこの男は、名前の居場所を知っているらしい。

俺にはなんの手掛かりもないのに、どうやってそんな情報を手に入れたのか。

聞きたいことは山ほどあるが、今はそれ以上に、名前の身の安全が第一だった。

「平気なのかよ、名前は」
「さぁな」
「さあなって、なんか知ってんじゃないの?」
「なんにも知らねぇよ。俺だってな、やりたくてこんな事やってんじゃねーんだよ」
「は?」
「でも仕方ないだろ。助けてくれと言われてたからな。お前のこと。可愛い女の子のお願いは聞いてやらなきゃだろ」

相変わらず、掴めない。

何を聞いても、きっと本当のことなんて教えてくれる気はない隣の男に、これ以上の詮索は無駄だと口を噤んだ。

「それよりお前、戦えるのか」
「………武器ならあるけど」
「充分だ。もうすぐ着くぞ」

相手が何であっても、名前の為なら戦える。

例え俺の復讐が成功したって、そこに名前がいなければなんの意味も無いんだから。

一緒に生きたい。
そう言って、復讐に生きることを決めた俺の光りになってくれた名前を、どうか、救えますように。


「こっちはね、命掛けでそばにいるの」

「生半可な気持ちで、ずっと一緒にいたわけじゃない」


例え何があっても、そばにいてくれた。

いつも真っ直ぐ俺だけを思って、愛してくれた。


ありがとう。

そんな言葉では足りないくらい、愛しくて、愛しくて仕方ない。


「凄いな……あの子は」
「うん、」


もしかしたら、俺なんかよりずっと強いかもしれない彼女の覚悟に、ぎゅっと胸が締め付けられた。