「大丈夫?腕、掴まれてたよね」

終電間近の駅前で、
酔っ払いに絡まれていたわたしを助けてくれたのは、
爽やかな黒髪が印象的なお兄さん。

夜道でしつこく声を掛けられ、不安がっていたのに気付いてか。
その声はとびきり優しかった。

「この辺あんま治安良くないから、早く帰りな」
「はい、でも、」
「これ、オネーサンの?」
「あ、!」

先ほど揉み合った際、
男に奪われてしまったスマホを持って現れたのは、
黒髪の彼とは対照的な、綺麗すぎる金髪の男の人。

「はい。良かったね」
「ありがとうございます、!ほんとに、」
「飲み会終わり?」
「あ、はい。近くで飲んでて……」
「そっか。残念」
「え、」
「終電、今ちょうど行ったところ」

ニコリと笑って、
楽しそうに後ろの駅から出発した最終電車を指差す彼。

…………最悪だ。

「ふはっ。かわいそー」
「ですね……」
「オネーサン、暇なら俺達と遊んでく?」
「え、」

落ち込むわたしに、ニコニコと笑う金髪の彼。

やんちゃそうな見た目に反して、
その笑顔がなんだかとても可愛かったからだと思う。

普段ならこんな誘い絶対に乗らないのに、
気付けば、その綺麗な金髪に引き寄せられるようにしてうなずいていた。

「お姉さん、お名前は?」
「〇〇です」
「〇〇ちゃんね。よろしく」