「りおちゃん」「あ、岸くんおはよー。今日朝からなの?」「いやぁ、講義は昼なんだけど課題やばくて、」前までだったら、俺の姿を見ただけで目をキラキラさせていたりおちゃんが、なんか普通。その代わり、前と比べて紫耀を呼ぶ時の声に可愛さが増したような気がする。「りおちゃんはこのまま講義?」「ううん、」あれ?じゃあ何で?聞こうとしたところで、後ろから「りおちゃん!」と目の前の彼女を呼ぶ声が聞こえて、ギクリとする。「紫耀くん!」「おはよ、ごめんね遅くなっちゃって、、って、岸くんも?おはよ」「おう、おはよ」嬉しそうに、かけていたサングラスをずらしてりおちゃんのことを見つめる紫耀は、なんだか大荷物。「はい、りおちゃんの分」「え、ほんとに連れてってくれるの?」「当たり前じゃん。早く行こ」そう言って、持っていたヘルメットをりおちゃんに渡して、その手をとる紫耀は、きっとこれから彼女を後ろに乗せてドライブにでも行くんだろう。嬉しそうに、めちゃくちゃ可愛い笑顔で紫耀に着いて行く為立ち上がったりおちゃんが、こちらを振り向く。「岸くん」「ん?」「このこと内緒ね」しーっと、口元に指を立てたりおちゃんが、イタズラっ子のように楽しそうに笑っているのを見て、あ、やば、、と思った。多分、今日この後二人は戻って来ない。嬉しそうに、紫耀の横に並んで歩いて行くりおちゃんの横顔を見て、あぁ、俺、何でもっと早くこの顔に気付けなかったんだろ、なんて後悔しても、もう遅い。
あーあ、ぜってぇ課題進まねぇじゃん、、、。せっかく早く来たのに、もう何も手に付かなそうな自分の落ち込みように気付いて、自覚した。『じんぐーじ、どうしよ』『おれ、りおちゃんのこと好きだったみてー』衝動的に送ったそのメッセージに返事がついたのは、それからすぐのことだった。