「そんな格好で行くとか聞いてないんだけど」
「だって言ってないもん」
「ただの同窓会でしょ?そんな綺麗にしてく必要ある?」
「久しぶりに会う子もいるんだよ?それなりに綺麗な姿で会いたいじゃん」
「何それ。綺麗にって、男にってこと?」
「そんなこと一言も言ってないんだけど」

普段から、とてもわたしを大切にしてくれている彼氏。

喧嘩なんてしたこと無かったし、
いつも優しくわたしのワガママを聞いてくれるから、
まさかこんな事になるなんて思いもしなかった。


「で、喧嘩したまま出てきちゃったの?」
「うん。売り言葉に買い言葉で……。
わたしのこと心配してくれてるってのは分かるんだけど、
なんていうか、そんなに信用無かったんだって……」
「うーん、難しいところだよね。
その彼氏さんの気持ちも分からなくはないけど、
俺からすればちょっと過保護かな」
「だよね!?」

話を聞いてくれたのは、学生の頃仲が良かった男友達。

いつもなら、嫉妬深い彼に遠慮して
お酒の席ではあまり男の人と話さないようにしていたが、
元々知っている間柄ということもあり、つい愚痴をこぼしてしまった。


「まぁ、今くらいは少し彼氏さんのこと忘れたら?」

多分、お酒が入っているせいもある。

いつもなら絶対にうなずかないその言葉に、
ぐらりと揺れた心を引き戻したのは、
目の前にいる彼の、さらにその奥に座る見慣れた姿。












「……………しょ、う、?」
「え、」

鋭い瞳で、ジッとこちらを射抜く視線にドキリとした。

「〇〇」
「しょ……」
「ごめん。もう無理」

驚くわたしの腕を掴んで、
グッと引き寄せられた体が彼の方に倒れた。

「悪いけど、この子、俺のだから」

表情は見えない。

けれど、いつもより低い声でそう言って周りを牽制する彼の声に、
不覚にもきゅんとしてしまった。

「紫耀……」
「〇〇ごめん。でもやっぱ、俺、こういうやり方しか出来ない」

愚痴を聞いて、親身になってくれた友人には悪いが
結局、わたしもこんな彼に愛されていることに幸せを感じてしまうんだから、
どうしようもない。

「じゃあ、〇〇は連れて帰るんで」
「ふはっ、仲がよろしいことで」

お幸せに。

そう言って笑った友人の言葉にも、
不機嫌そうに顔を歪める彼の手が、わたしの手をきゅっと握り締めた。