新は、どこで働いているんだろう。


お休み前日の夜。
仕事に行った彼を見送り、部屋に戻ると、テーブルに見慣れたスマホが置いてあった。

さすがに無いと困るだろうな、と病院には来てみたものの、肝心な事が分からず、とりあえず院内の案内板を見上げている時だった。

「あ、」
「?」

横から声がし、振り向くと、見覚えのある顔。

「えっと………朝倉先生、で合ってますか?」
「はい。朝倉です。どうされたんですか?まさか怪我でも、」
「あ、いやそうじゃなくて、!」

* * *

「え、可愛い!」
「?」
「ムカつく!深澤のくせに!」
「え、何で高岡と桜庭もいるの!?」
「〇〇ごめん、わざわざ、」
「あ、ううん、」

てっきり新一人が来るのかと思っていたら、彼の後ろに、知らない二人がいた。

「ちょっと、仕事は?!」
「いいじゃない休憩よ休憩!深澤がどうしても彼女のこと紹介したいっていうから」
「おい言ってねーぞそんなこと。お前らが勝手に着いて来たんだろ」
「初めまして〜深澤の同僚の桜庭瞬です。なにちゃんっていうの?」
「あ……〇〇です」
「〇〇ちゃんかぁ、可愛いね!」
「おい桜庭!」

人懐っこい先生に挨拶をされ、握手を求められたところで、間に新が割って入った。

「自己紹介なんかしなくていいから!」
「え、でも、」
「こいつらただ面白がってるだけだから。もう二度と会わせねーし」
「………新、わたしのこと恥ずかしいの?」
「はあ!?まさかっ、んなこと、」
「じゃあいいよね。常識的にここで何も言わずに帰るなんて、わたしが恥ずかしいんだけど」
「それは、」

「初めまして。△△〇〇です。いつも深澤がお世話になってます」
「いえいえ、高岡です〜。こちらこそ、深澤先生には大変お世話になってますので」
「お前……」
「深澤先生って、恋人の前だとどんな感じなんです?」
「おい高岡、!」

慌てる新の横で、ニコニコ笑っている高岡さんと桜庭さん。3人のやり取りを見て、あぁ、彼はちゃんと職場の人達と上手くやっているんだな、と嬉しくなった。

「優しいですよ。すっごく」
「へぇ〜〜」
「他には?……あ、〇〇ちゃんって、深澤のどこが好きなの?」
「?!なに聞いてんだよ桜庭…!」
「ご飯が美味しいところですね」
「へ、?!」
「ぶっ、」
「っあはは!最っ高!」

ポカンと口を開け、絶望の表情でこちらを見ている新に、笑みを返す。

「お前……え、そうだったの、?」
「冗談に決まってるでしょ」
「え、」
「ちゃんと色々大好きだよ。だから、お仕事頑張ってね」
「お、おう……」

忘れて行ったスマホを手渡し、笑顔を向けると、分かりやすくニヤける新に、同僚の人達も笑っていた。

「明日のご飯は、ハンバーグがいいなぁ」
「、おう!任せろ!」
「じゃあ、わたし行くね」
「え、もう?」
「ふふ…新、仕事中でしょ」
「あ。」
「じゃあ、頑張ってね」
「〇〇、ほんとありがとな。送れないけど、気ぃ付けて帰れよ」
「うん、ありがとう」

「めちゃくちゃ可愛い子じゃん」
「……まぁな」
「ただの大人しい子だったらどうしようかと思った。絶対仲良くなれないもん」
「いや別に仲良くしなくていいから」
「それは彼女ちゃんの自由でしょ?良い子そうだし、また会わせてよ」
「調子良いこと言って……どうせお前、〇〇と組んで俺を揶揄いたいだけだろ」
「えぇ〜?なんのことかしら?笑」
「二度と会わせねぇ」