「ねぇこれって、〇〇の恋人じゃなかった?」
「ん?…………え、」
仕事終わりの更衣室で、同僚にスマホの画面を見せられた。
最初は、友人である彼女の申し訳なさそうな顔が不思議だったが、その答えは、すぐに判明する。
「あーーー、新だ……」
「これ、結構有名なインフルエンサーだよ。大丈夫?」
「うーん……まあ、心配はしてないけど、」
やましい事があれば、むしろSNSになんて載せないはずだ。新からすれば、仕事中だし。これだけの事で何かを心配する程ではない。
しかし、この嬉しそうな表情だけは、本気だろう。
「医者ってモテそうだもんね」
「うーん……」
あぁ、ちょっとだけ、嫌かも。
「お疲れ様」
「おう、おはよ。悪いな休みの日に」
「ううん、わたしも心美ちゃんに会いたかったから」
「……なんか〇〇、元気無い?」
「え、そんなことないけど、」
写真のことは、聞かないことにした。
十中八九、新に悪気が無いことは分かっているし、言ったところで、どうにもならないから。
しかし、頭では分かっていても、あの嬉しそうな表情を見てしまった為か、胸のモヤモヤが消えることは無かった。
「ま、疲れてんなら今日は早く帰ってゆっくり……」
「お姉さん!」
「?」
「あれ、勇馬くん」
心美ちゃんのお見舞いかな?
あれ?でも心美ちゃんって、勇馬くんに病気のこと隠してるんじゃなかったっけ?
こんにちは!と元気良く挨拶してくれる勇馬くんに返事をしながら、新の視線が急に鋭くなったことに気付く。
「おい〇〇、こいつ誰だよ」
「あー……」
「初めまして!岡本勇馬です。〇〇さんは、俺の恋人のお姉さんみたいな人って聞いてて、あ!みたいなっていうのは、俺の彼女のお兄さんの恋人だからで、」
「………」
「彼女のお兄さんの恋人……?」
「はい!」
つまり、新からすると、わたしの恋人が自分なので、その妹が、勇馬くんの恋人ということになる。
「はあっ!?」
「え、」
どうやら、しっかり理解してしまったらしい。