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「そ、それは……」



そんなことはわかってる。
いや、はっきりとはわからない。
ただ、それがろくでもない結果だということだけはわかっている。
あのエドワード王が、俺の言うことを素直に聞き入れてくれるはずはない。



俺は、一生、どこかに幽閉される?
もしくは、虫けらみたいに殺されてしまう?
それとも……



そう…アンジェラの選択は正しいんだ。
いや、そもそも、俺に選択肢なんてない。
俺は、エドワード王に従うしかないんだ。
それがどんなに理不尽なことだとしても…



「……素直に従えば良いのよ。」

その通りだ。
頭の中ではわかっていたけれど、すぐには頷けなかった。



「とにかく、私と仲良くすれば良いの。
本気じゃなくて良いのよ、ただの振りで構わないの。」

「……どういうことだ?」

「今は言えない。
だけど、悪いようにはしないわ。
あなたは、きっと私に感謝するはずよ。」

「だから、どういうことなんだ。
ちゃんと教えてくれないか。」

「だから…今は言えないって言ったでしょ?
とにかく、私のことを気に入ったふりをして、私と仲良くしているふりをすればそれで良いの。
絶対に悪いようにはしないから、とにかく私を信じて、私の言うとおりにして。」

そう話したアンジェラの瞳は、エドワード王と良く似た、冷たく強いものだった。
俺は、まるで魔法にでもかけられたみたいに、素直に頷いていた。
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