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「なんて綺麗な湖なのかしら。とても素敵なところね。」

「あぁ、そうだな。」




それからしばらくして、俺たちはモルガーナ城からさほど離れていない、森の中の屋敷に移った。
そんなにはいらないんじゃないかと思うほどの使用人を伴って…
今まで俺の世話をしてくれていたライアンも、もちろん一緒だ。



「……良いわね。
私たちは、常に見張られていることを忘れないで。
特に、人がいるところでは、親しいふりをするのよ。」

「……わかってる。」



もしかしたら、アンジェラは、まわりを油断させて、逃げようと考えているのか?
いまだに彼女の考えが読めない。
だが、それでも彼女に従うのは、ただひとえに俺の勘だ。
彼女に従っていれば、きっと、事態は良い方向に向かう。
根拠もないのに、俺はそんな風に感じていた。



「ねぇ、ジョシュア、見て!
あそこに泉があるわ!」

「本当だね。見に行ってみようか。」

供の者たちに聞こえるように、やや大きな声でそう言って、俺とアンジェラは手を繋ぎながら泉に向かった。



演技ならお手のものだ。
アンジェラも、俺に負けず劣らず演技がうまい。
俺たちは、傍から見れば、とても仲の良い恋人同士に見えることだろう。
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