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(誰か、教えて!
これは夢なの?
それとも、手の込んだ冗談?)



誰も答えてなんかくれないことはわかってたけど、訊かずにはいられなかった。
涙が次から次から溢れて来て、止まらない。
アルバートさん…ねぇ、これは本当の話なの?



「カンナ…踊ってくれ。」

「……はい。」

アルバートさんに手を引かれ、私達は大広間の中央に進み出た。
楽団の奏でる音楽に合わせながら、私はアルバートさんに身を委ねた。
アルバートさんのリードに任せて体を動かし、頭で考えなくても、自然とステップが踏める。
最近、ずっとふたりで練習をしてたのは、もしかしてこの日のためだったの?



周りの人達の視線を痛い程、感じる。
なんだかとっても恥ずかしい。
そうだよね…
アルバートさんは、さっき、みんなの前で私との結婚を発表した…
ってことは、これはやっぱり現実…!?
私……本当の本当に、アルバートさんと結婚するの?
オルリアンの王子様であるアルバートさんと…
そしたら、私、王女様になるの…?



(王女様…この私が…?)



やっぱりまだ信じられない。
私は、今日のことを回想した。
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