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「あれ以来、体調はどうだ?」
「はい、もう大丈夫です。」
「そういえば、今朝は良く食べていたな。」
「は、はい。」
うん、確かに今朝は良く食べた。
恥ずかしいけど、ここ数日、食べれなかった分、今日はもりもり食べてしまった。
「最初の時は酔わなかったのか?」
「え?」
「……違うのか?
君たちは、モルドから来たばかりだったのだろう?」
「え?あ〜、はい。
最初の時は、不思議と酔わなかったんです。」
「そうか、君は記憶を失ったらしいが、その時はもう忘れていたのか?」
「え?」
どうしよう?
ネイサンさんとそんなところまで打ち合わせはしていない。
「あ…頭が……」
困った私は、頭を抱えてその場にうずくまった。
「どうした!?」
「頭が痛むんです。」
「誰か…!」
「あ!だ、大丈夫です。
じっとしていれば、すぐにおさまりますから。」
「しかし……」
「本当にだい…あ!」
アルバートさんは、私を軽々とお姫様抱っこをして歩き出す。
(え!?な、な、なんですか!?)
私は何も言えず、さらに緊張してしまい、それを隠すために固く目を閉じた。
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