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「改めて訊ねるが、本当にそなたはカンナと婚姻するつもりなのだな?」

「はい、その通りです。」

舞踏会が終わり、私達は陛下の部屋に呼ばれた。
陛下も王妃様もかなり戸惑われているご様子。
そりゃあ、そうだよね。
私だって、めちゃめちゃ戸惑ってるからね。



「反対するわけではないのだが、少しだけそなたについて聞かせてくれ。
そなたの出身はどこだ?」

「え…そ、それは…」

「モルドのルーランだそうです。」

アルバートさんが、私の代わりに答えた。
私のことを、ネイサンさんの妹だと思ってるから、そう言ってるんだと思う。



「モルドの者か…平民か?」

「はい、しかし、両親はもう亡くなっておりますし、特別問題となるようなことは何もありません。」

「そうか……わかった。
では、早速、婚姻の儀の準備を始めよう。」

「はい、どうぞ、よろしくお願い致します。」



私はほとんど話すこともなく、ただ陛下とアルバートさんの会話を聞いているだけ。
何度もお会いしてるとはいえ、陛下を前にすると緊張してしまう。
そうでなくても、あまりに急な話に、私はまだ混乱してて…



あ、そういえば、私…アルバートさんには好きだなんて言われてないし、プロポーズもされてない。
だから、現実感がないのかも……


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