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「アルバートさん…ちょっと話したいことがあるのですが…」

「私もだ。私の部屋で話そう。」

良く考えると、アルバートさんの部屋に入ったのは初めてかも…
綺麗に片付いてて、品が良くて…
まさに、アルバートさんらしい部屋だった。



「今日は疲れただろう?」

「はい。なんだかいろいろ有り過ぎて…」

私がそう言うと、アルバートさんはくすりと笑った。



「……驚かせてすまなかった。」

「あ、あの…いつからご存知だったんですか?
私が、その…女だってこと……」

「そうだな…最初、おかしいと思ったのは、君が船で倒れた時だ。
抱き上げた時の感触が、とても男性には思えなかった。
だが、あの時はまだ小さな疑いだった。」

「では、一体、いつ……」

「一緒に馬に乗った時だ。
背中に触れる君の感触は、やはり男性とは思えなかった。
そして、確信に変わったのは、酒に酔って倒れたあの時だ。
苦しそうだったから服を脱がせようとしたんだ。その時に…」

「そ、そうなんですね…」

恥ずかしさでなんだか顔が熱くなる。
あの時のことはほとんど覚えてないけど…そっか…そうだったんだね。
あの日の時点でバレてたんだね。
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