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「それは、私がずっと一緒にはいられないからです。」

私が困っていたら、ネイサンさんが代わりに答えてくれた。



「カンナは記憶を失ってますし、なにかと心配だったので…
それで、男装させたんです。
それに、女だと気を遣われると思いまして…」

「そうだったのか。
確かに、モルドに行った時等も、カンナが女性だと知ってたら、ひとりで置いて行くのは気が引けただろうな。」

「はい、旅の途中でしたし、万一、私とはぐれたりしたら、女性ひとりでは危険だと思いまして…」

「そうだったんだな。
でも、それは正解だったかもしれないな。
ファーリンドはともかく、モルドは治安が悪いと聞くからな。」

あ…そっか。
アルバートさんは、私とネイサンさんが一緒にモルドからファーリンドに来たと思ってるんだよね。



「あ、あの…平民というのは、大丈夫なんでしょうか?」

私は、男装のことから話題を変えようと思って、話を変えた。



「あぁ、それなら大丈夫だ。
なんせ、先王様が平民のお妃様を娶っているからな。
だから、陛下も反対はされないんだ。」

なるほど、そういうことか。



「では、モルドの者というのは…?」

「確かに、モルドの者を嫌う人々は今でも多い。
だが、幸いながら、陛下はそういう偏見はお持ちではない。
だから、そのこともそう深刻に考えることはないだろう。」

良かった…って、本当はモルドの者ではないけどね。
さすがに、異世界から来たことだけは言えないよ。
うん、隠しておこう。
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