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「しかし、まだ信じられないよ。
王子様とこんな風に親しくさせてもらってることだけでも信じられなかったのに、今度は友達のひとりがその王子様のお妃様になるなんて…」

「ジョシュア、これからも仲良くしてくれよ。
そういえば、故郷はどうだったんだ?
かなりゆっくりして来たようだが……」

アルバートさんがそう言うと、ジョシュアさんの表情が、なぜだか一瞬、暗く翳ったように見えた。



「はい、さすがに故郷っていうのは、のんびりするもんですね。
ほんの一か月くらいいたような気がしますよ。」

「確か、もう家族はいないと言っていたな?」

「はい、いません。
でも、かなり傷んではいましたが家はまだ残ってたので…
田舎なもんで、すっかりだらけてしまいましたよ。」

「のんびり出来たのなら、良かったじゃないか。」

「……そうですね。」

ジョシュアさんの微笑みが、なんともいえず寂しそうに見えた。
おかしいな。
特に、悲しいことがあったようなことは言ってなかったけど…私の気のせいなのかな?



「それで、婚姻の儀はいつ頃になるんですか?」

「そうだな。いろいろな準備があるから、数か月はかかるだろうな。」

数か月か〜…
きっと、あっという間に過ぎ去ってしまうんだろうね。
まだ実感はわかないけれど…
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