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「カンナ…疲れてないか?」

「はい、大丈夫です。」

「馬車には酔わなかったか?」

「はい、お陰様で。」

お昼に小さな町に立ち寄って食事をして、そしてまた馬車に乗り、夜が更けてから大きな町に着いた。
ここで一泊してから、明日の夕方にはキリルの国に入るらしい。



遅かったせいか、もうお店はほとんど閉まってて、レストランとはちょっと違う、酒場のようなお店で夕食を食べた。
馬車に乗ってた人はたいてい来てるし、それほど柄が悪いって程ではないけど、王子様が来るのには不似合いなお店だ。
でも、アルバートさんはそういうこともあまり気にしてないみたい。
前から思っていたけれど、本当に気さくな人だよね。



「カンナ…この肉も食べてみなさい。
柔らかくて美味しいぞ。」

「はい、ありがとうございます。」

差し向かいで食べる食事…ちょっと照れるけど、嫌な気はしない。
イケメンの顔を見ながら食べると、食が進むね。



「酒はどうだ?もう一本頼むか?」

「いえ、僕はそんなに飲めませんから、これで足りると思います。」

「そうか。わかった。」

アルバートさんって、本当に気遣いの出来る人だと思う。
こんな私にも、こんなに優しく接してくれるんだもの。
王子様なんだし、ふんぞり返っていても良い身分なのに、偉ぶったところが本当にないんだよね。



こんなに見た目も良くて、性格も良いのに、いまだ独身っていうのが不思議だね。
そうでなくても、王族だったら、自分の意志とは関係なしに政略結婚とかもありそうなのに。
そういえば、エドワード王もアルバートさんとはほとんど年が変わらないみたい。
なのに、エドワード王はもう再婚だし、子供もいるのに、アルバートさんは独身。
不思議だ。
本当に不思議だ。



あ、そういえば、ネイサンさんも独身、ジョシュアさんも独身、オスカーさんも?
なんでだろ??
見た目的にはモテるに決まってるのに。
本当にもったいない話だね。
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