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「本当に歩いて行くんですか?」

「あぁ、そうだ。
馬車にばかり乗っていては、キリルの良いところがわからないだろう?」

次の日、私達はキリルの国境を越えた。
特にチェックのようなものはない。
ただ、馬車で通り抜けただけだった。



その晩は、城下町に泊まり、次の日の朝、私達は宿を経った。
当然、馬車で祈りの塔まで行くもんだと思ってたのに、アルバートさんは歩いて行くって言い出した。
どのくらい遠いのかはわからないけど、徒歩で行くくらいだから、きっとそうは遠くないんだろうね。



キリルのお城もちらっと見たけど、オルリアンのお城よりはやや小さめのお城だった。
外観はけっこう似てたけど、キリルのお城の方が古そうな雰囲気だった。



私達は街道沿いに歩き、そして山道に入って行った。
もしかして、祈りの塔って山の中にあるのかな?
山歩きなんて、ほとんどしたことがないせいか、息が切れて滝のような汗が流れる。
なのに、アルバートさんは、平気な顔して歩いてる。



「これを使うと良い。」

アルバートさんが差し出したのは、長い枝。
そっか、これを杖に使えってことだね。



「ありがとうございます。」

杖があると、確かに歩くのが少し楽になった。
あくまでも『少し』なんだけど…
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