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「……王妃よ。
教えてくれ…何なのだ、恨みとは……」
「あぁ、教えてやろう。良く聞くが良い。
私は、過去のモルドから来た者だ…!」
王妃は目を吊り上げ、余を睨み付ける。
「過去の…モルド?」
どういうことだ?
余の頭はさらに混乱した。
「悪いことなど、何もしていない。
なのに、ただ、魔女だということだけで殺され…
さらには、魔女でもないのに殺され…
私の家族も、皆、殺された。
魔力など、もってはいなかったのに。
薬草についての知識があっただけで、魔女だと決めつけられ、殺されたのだ。
生きたまま、炎で焼かれたのだ!
皆のあの苦しみの声が、今でも耳に残っている。
許せぬ…絶対に許さぬ!
私は無残に殺されたすべての者の恨みを晴らすため、このモルガーナを滅亡させるために、ここに来た…!」
髪を振り乱し、体を震わせて、王妃は感情的な声でそう言った。
「な、なんだと…!?」
王妃はさらに話を続けた。
魔女狩りの最中、なんとか逃げ延びた王妃は、魔女に頼み込み、魔方陣に自らを封印させたというのだ。
いつの日か、魔方陣が発動された時に復活するように…
アンジェラは復讐の時を信じ、数百年の時を待ち続けたと言う…
とてもじゃないが、信じられない話だ。
だが、王妃の顔は強張り、潤んだ瞳には激しい怒りの炎が滾っていた。
「で、では…そなたは、異界から呼び出された者ではないというのか。」
「あぁ、違う。
私はずっと魔方陣に封印されていた…」
「そ、そんな……」
「もうひとつ、面白いことを教えてやろう。
オズワルドは、ジョシュアの子ではない。
私とオズワルドの間には、何もない。」
「ま、まさか……それでは、オズワルドは……」
「そうだ、おまえの子だ。
まさか、今まで本当に気付かなかったのか?」
王妃は、見下すような冷たい視線で余をみつめた。
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