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オズワルドが、余の子供だったとは…
確かに、侍従たちも余に似ていると言っていたし、余自身も似ているとは感じていたが、まさか本当に余の子供だったとは…



「それでは、この子には魔力は……」

「そんなもの、あるはずがないだろう。
私も魔女ではない、おまえもだ。
だから、当然、この子にも魔力はない。」

その言葉に、私は全身の力が抜けていくようだった。
あれほど苦労してジョシュアを探し出し、成功したと信じていた召喚は最初から失敗しており、そして、過去の王達がやった罪を今問われようとは…



「そうか…そうだったのか……」

あまりにも愚かな自分自身に、笑いが込み上げた。
情けない…なんと愚かな…
これが、軍神とまで呼ばれた余の最期なのか…
まさか、余の代でこのモルガーナが滅亡しようとは、考えたこともなかった。



(……何を!?)

放心する余の前で、王妃は、唐突に短刀を引き抜いた。



「余を殺すのか…良いだろう。
好きにするが良い。」

すでに覚悟は出来ていた。
アンジェラを止めることはもちろんたやすいことだ。
だが、こんなことになったのだ。
生きていても仕方がない。



「あなたは殺さない。
あなたを殺すのは叛乱軍の役目だわ。
私が殺すのは……」

王妃は、オズワルドをみつめた。
オズワルドはただならぬ気配に身を固くする。



「この子さえいなくなれば、モルガーナの王族は途絶えたも同然……
いい気味だ。これで、無念にも死んでいった者たちもようやく浮かばれる…!」

王妃は、オズワルドをめがけ、短刀を高く振り上げた。
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