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その後、私達は、北のルーランを目指して旅を続けた。
ネイサンさんは腕が立つとはいえ、やっぱり心配だ。
だって、戦争みたいなことが起きたんだから…
特に、アルバートさんは、ネイサンさんが私の兄だと信じてるからか、すごく心配してくれている。



通り過ぎた各国の市街地は、やはりどこもそれほどの被害を受けてはいない。
それどころか、モルガーナの植民地みたいな状況から解放されたせいか、どこもたいそう活気がある。
国の基礎はあるとはいえ、独立して王様が変わるわけだから、何かと大変だろうけど、みんなはやる気に満ち溢れているみたいだ。



「このあたりまで来ると、ずいぶんと寒いですね。」

「そうだな。つまりはルーランに近付いているということだな。」

気が付けば、モルドに来てから、もう何か月かが過ぎていた。
当初心配してたような、戦に巻き込まれるんじゃないかっていうような危険がなかったのは良かったけれど、確かに治安の悪い地域はあった。
オスカーさんやイズルさんがいるから、命の危機を感じるようなことはなかったけれど、危うく盗難にあいそうになったことはあった。
こういうことも、今後は変わっていくのかな?



「アルバート様、あの山を越えたところがルーランです。」

イズルさんが、山を指さしてそう言った。
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