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「君には、なんというか品格のようなものが備わっていたが、まさか、王家の者だったとはな…
あ…では、カンナは女王ということだな?」

アルバートさんの言葉に、私とネイサンさんは思わず顔を見合わせた。
そうだよね…
ネイサンさんが王様だったら、妹である私は女王様になるよね。
でも……



「……どうかしたのか?」

ネイサンさんは、私に向かって小さく頷く。
え…ネイサンさん、どうするつもり?



「アルバート様……実は、カンナは実の妹ではないのです。」

「どういうことだ?」

「カンナと出会った時、カンナはすでに記憶を失っていました。
そんな者をひとりで放っておくわけにもいかず、それで、うちに連れて来たんです。
もう十数年前のことになります。
血は繋がっていなくとも、私はずっとカンナのことを妹として考えておりました。
その気持ちは、今ももちろん変わりません。」

ネイサンさん…またそんな新たな嘘を……
私はどうしたら良いのかわからなくなって、そっと俯くしかなかった。



「そういうことだったのか…」

「それで…今、考えたのですが…カンナを伯父の養女ということにしてはいかがでしょう?」

えーっ!?
びっくりしてる間にも、その話はどんどん進んで行った。
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