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「今日は、本当に驚くことばかりだったな。」

「そうですね……」

今更にして私には思い当たることがあった。
私がアルバートさんと結婚した時、ネイサンさんが私と兄妹だってことはどうしようかって言ったけど…それは、ネイサンさんが王族の者だったからだったんだね。
でも、まさか、こんなことになるとは……



「カンナ…私は、君が平民でも全く気にはならない。
ネイサンの提案を受けたのは、君のためだ。
君がルーランの王族の者となると、民たちが君を見る目も変わるだろうから。」

「はい、ありがとうございます。」

まだ、伯父さんがOKしてくれるかどうかはわからないけれど、だめでも特に問題はない。
平民だからって、もしも何か言う人がいても、耐えれば良いだけのことだもの。



数日後、伯父さんからは無事にOKの答えをもらえた。
王族になれたということよりも、私にとっては、父親や兄が出来たことが嬉しかった。
血が繋がらないどころか、まだ会ったばかりだけれど…
この見知らぬ世界に実家みたいなものが出来て、そして、もう一つは、伯父さんがどこかパパに似てたせいかもしれない。



ここに来て失ったものはたくさんある…
大切な家族、夢を叶えたばかりだった女優の道、便利で快適な文明…
その喪失感はとても大きなものだけど、結局、私はなくしたものと同じくらい、得たものもあるんだって、感じさせられた。
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