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(……えっ!?)



町を馬車で移動すること、三日…
馬車を降りた俺は、そびえたつ白亜の城を見上げ、言葉を失った。
今までにいくつかの城を見たが、こんなに大きく立派な城を見たのは初めてだ。



「さぁ、行くぞ。」

「ちょ、ちょっと待ってくれよ。
ここは…?
なんで、俺が城なんかに…」

「……すぐにわかる。」



俺は、縄をかけられたまま、城の中に案内された。
赤い絨毯の敷き詰められた長い廊下を歩き、ある部屋に通された。
そこで俺は縄を解かれ、湯浴みをさせられ服を着替えさせられた。



この状況から考えると、俺はきっとこれから高貴な者に会わされるのだ。
立派な城……高貴な者……
まさか、ここはモルガーナ城!?
この大陸のすべてを司る、若きエドワード王の住まう城…



(まさか…そんなことがあるはずない!
俺みたいなつまらない結婚詐欺師のことを、エドワード王が知るはずがない!)



だが、この城のことを考えると、やはりモルガーナ城としか考えられない。
こんな城は、他に二つとないだろう。



まさか、俺は知らないうちに王族の誰かを騙してしまったのか?
確かに、エドワード王には妹君がいる。
フランソワ王女だ。
だが、そんな方が町に来られるはずがない。
では、一体、どういうことだ!?
不安ばかりが大きくなっていく。
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