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「ジョシュア様、準備が整いましたら、そろそろ参りましょう。」

「おい、待てよ。
なんで、俺の名前を知ってるんだ!?」

俺は、執事と見られる中年の男に質問した。
しかし、執事はただ黙って頭を下げるのみだった。



なんだ、なんだ?
俺の本名を知ってるだけじゃなく、ただの結婚詐欺師の俺を『ジョシュア様』と呼びやがったぞ。
気持ち悪いな…



「では、参りましょう。」

執事は、わざとらしい笑顔でそう言う。



「どこに行くんだ?」

「ご夕食でございます。」

なるほど。確かにそろそろそんな時間だ。
しかし、俺にわざわざ正装をさせたということは、きっとその夕食の席に俺を探してる奴が来るってことだな。
そして、そこに行くまで、この執事は何も話さない、と。



それならそれで良い。
会ってやろうじゃないか。
王でもなんでも出て来やがれってんだ!



まさに、開き直りだ。
今の俺には、そうするしかないんだから仕方がない。
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