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「ジョシュア、よく来た。」

「はっ、陛下…」

「これから、そなたにやってもらいたいことがある。
なに、それほどたいしたことではない。
もちろん、それ相応の褒美も遣わす。」



どうやら、今夜…
ずっと俺の知りたかったことがわかるようだ。
俺に何をさせる気なのかはわからないが、この状況で断れるはずもない。



「仰せのままに……」

俺は深くお辞儀をした。



「では、行くとしよう。」



数名の共の者と共に、立ち上がったエドワード王の後を俺はしずしずと着いて行った。
長い廊下を進み、外の通路を渡り、俺が今まで行ったことのない塔に向かった。
塔の入り口には、仰々しい鍵がかけられており、それががちゃりと解錠されると、重々しい扉がゆっくりと開かれた。
王に続いてその塔に足を踏み入れた。
余程長い間、誰も立ち入らなかったのか、黴臭いにおいが鼻につく。



塔は静けさに包まれており、俺たちの足音と衣擦れの音が妙に響く。
足元さえ見えない程の暗闇の中、小さなランプだけを頼りに俺達は長い螺旋階段を下って行った。
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