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「ち、畜生ーーーー!
おまえの魂胆がやっとわかったぞ!
なんて執念深いことを…
てめぇ…エルフだなんて嘘だろ!
こんなことを考えるなんて、やっぱりおまえは悪魔に決まってる!」
「全く、失敬な奴だな。
悪魔と一緒にするな。
悪魔だったらおまえはきっともっと醜い女に変えられているぞ。
今のおまえはけっこう美人だ。
それで、もう少し品を良くすれば、おまえを嫁にもらってくれる男もみつかるかもしれんぞ。」
「だ、だ、だ、誰が男なんかと!
俺は、エリーズと結婚するんだ!」
俺がそう言うと、エルフは喉の奥を鳴らして笑った。
「エリーズが女のおまえを好きになるかな…」
「も、もちろんだ!
正直に事のなりゆきを話せば、エリーズは俺が元に戻るまで必ず待ってくれる!
エリーズはそういう出来た女なんだ!」
「そうかな…そうとは思えんが、それならば…」
エルフは、急に目を閉じて俯いたかと思うと、低い声でなにかを呟き始めた。
(なんだ?こいつ、突然、何を始めやがったんだ?
……こ、これは…!)
エルフのこの行動が何を意味するのか気付いた俺は、その場から逃げ出そうと踵を返した。
まさに、その時、エルフの声がぴたっと停まる。
(……あれ?)
振り向くと、エルフは薄ら笑いを浮かべて俺をみていた。
俺の身体にまるで異変はない。
……さては、こいつ、失敗しやがったな…
俺はほっと胸を撫で下ろした。
「もしも……」
「え?」
「もしも、おまえが自分の正体を誰かに話したら、おまえはその場でカエルに変わる。
今、そういう呪いを付け加えておいた。」
すました顔でエルフが言った言葉を、俺は今一度、心の中で復唱した。
(もしも、おまえが自分の正体を誰かに話したら、おまえはその場でカエルに変わる。)
「……な、な、な、なんだってぇ!?」
やっぱり、こいつは悪魔に違いない…
とことん、俺とエリーズの恋路を邪魔するつもりのようだ。
せっかく、うまくいきそうだったのに…
結婚まであと一歩の所まで漕ぎ付けていたのに…
「畜生ーーーーー!」
俺は、両の拳で地面を激しく叩き付けた。
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