「あれか…」




「ほら見ろ!俺の言った通り、ちゃんとあっただろうが!」
そう言いたい気持ちをぐっと抑えた。
奴と言い争って苛々するのも馬鹿馬鹿しいから。



「じゃ、行こうか。」

「待て。相手は魔女なのだぞ。
こちらには武器もない。
なのに…」

「アレクシスのことを知りたいんだろ!?」

「くっ…」

ユリウスは唇を噛みしめ、わなわなと震えていた。
その姿に俺は吹き出しそうになるのを堪え、魔女の家に向かってすたすたと歩き続けた。



(いざとなったら、とにかく走って逃げよう…
今の俺にはそうするしか手がない…)



扉の前で、大きく深呼吸をすると、俺は、古めかしい木の扉を叩いた。
しかし、返事がない。



「魔女はいないのか?」

気が付くと、ルシウスがすぐそばに来ていた。



「こんばんは!」

大きな声を張り上げながら、俺は再び扉を叩いた。




「誰じゃ。騒がしいのう…」

扉の奥からしゃがれた声が聞こえ、ゆっくりと扉が開かれた。
そこに立っていたのは小柄な婆さん。
長い白髪をひとつに束ね、鷲鼻で、への字の口をしたいかにも魔女らしい婆さんだった。



「あ、こ、こんばんは。」

「……何の用じゃ。わしは忙しいんじゃ。早く言え。」

「あ…す、すみません。
実は、俺…じゃない…私達はフクロウを探してまして…」

「何?フクロウじゃと…
ん…んんん……?」

魔女は、俺に近付き、俺の顔をしみじみとみつめた。



「おまえ、呪いをかけられておるな。」

「わ、わかるんですか!?」

「当たり前じゃ!わしを誰じゃと思っておる。
魔女の中の大魔女・サンドラじゃぞ!」

「そ、そうなんですか…」

サンドラって言われても、俺は魔女に知り合いなんていないし、魔女の世界の事にも詳しくない。
婆さんがどんなものすごい魔女なのか、それともただのはったりなのかもわからない。



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